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2017.10.15 (Sun)

チャイコフスキー 交響曲第6番 フリッチャイ&ベルリン放送響

フリッチャイ_悲愴

チャイコフスキー
交響曲第6番ロ短調op.74「悲愴」

指揮:フェレンツ・フリッチャイ
    ベルリン放送交響楽団

録音:1959.9 ベルリン、イエス・キリスト教会
レーベル:グラモフォン

録音はオケに近く年代にしては十分にクリアなものです。ソロ楽器の質感や強奏時の
響きにやや古さは感じるものの弦楽などは十分に生々しく、なかなか迫力のある録音
です。残響もこの会場らしい響きが感じられます。
この録音はフリッチャイが1楽章に気になる箇所があり録り直す予定だったのですが
亡くなってしまい、長年お蔵入りとなっていたものでしたが1996年に遺族から発売の
許可が出たもので当時話題になったものでした。フリッチャイ45歳の録音です。

第1楽章 21:14
 冒頭のファゴットからテンポは遅く、救いようのない陰鬱な表情が強く提示されます。
 音楽が動き出してからは通常のテンポ感になり各楽器のリレーも明快、金管も速いテンポ
 たたみかけメリハリ十分です。弦楽での第2主題はゆったりと相当ロマンティックで
 思い入れたっぷりの表情。続くフルートやファゴットのフレーズも粘着的で情感豊かな
 ものです。押しては引くというこの曲の流れをかなり強く表現していて驚かされます。
 展開部ではスピード感や荒れ狂うような劇性も申し分なく、緩急の差も大きいもので
 13:15辺りから13:55にかけてはテンポの振幅も大きく、激しい気性を感じます。
 クライマックスでもトロンボーンや弦楽は分厚く、巨大なスケールで迫ります。
 落ち着いてからの主題の再現部(16:35)ヴァイオリンが入ってくる箇所でアンサンブルが
 バラけるところが気になります(ここが録り直したかった?)がすぐに立て直して
 たくましい合奏の頂点へとつなげてゆきます。

第2楽章 9:21
 テンポはやや遅いです。冒頭の弦楽から随分とコクとまろやかさ(シチュー?)な表現
 でスラー、レガートが多用されています。特にチェロが雄弁に歌い上げています。
 テンポの自由さと同時にじっくりと落ち着きのある語り口が特徴ですが、その分通常
 この楽章で感じられる弾力感は控えめです。
 中間部もしなやかな進行で必要以上に運命的なリズムや陰鬱さは強調しませんが弦楽
 はよく歌います。再現部直前にはブレーキもグッときかせて開始、終盤ではテンポを
 次第に落としてゆき、どこか名残惜しい気分を感じされるのがユニークです。

第3楽章 8:52
 テンポは中庸。ひなびた音色のオーボエが飛び込んでくるのが印象的。トランペットは
 発音がもうひとつですが、明快で安定感のある進行です。
 開始して1:10辺りでは金管と同時にティンパニがfで入ってくるはずですが、聴こえる
 かどうか位の静かな音量であれ?と思います、意図されたものか休みを数え損なったか
 どうかはわかりません。
 テンポは終盤までは楽譜どおりいじらないのですが、7:15で一旦ブレーキをかけた後は
 次第に加速をかけてゆきラストはかなり速いスピードに駆け抜けます。

第4楽章 11:06
 冒頭の生々しい弦楽が痛切に歌い上げてゆきます。ここでもチェロの低弦が良く歌い
 上げています。続く第2主題は諦めにも似た気分を感じさせるほど静かに深い表情を
 みせます。また全休止も十分過ぎるほどに取り、空を切り裂くように開始する弦楽の
 切れ味は慟哭にも近いのめり込みを感じさせます。
 クライマックスも急加速を伴う突入と意味深で憂鬱な響きが印象的。終盤はかなり
 引きずるような進行が徹底されていてこの曲に相応しく暗黒の闇へと誘われます。

全曲で50分を超える力演です、フリッチャイはこの録音の前年(44歳)に白血病を
発症して活動にも支障が出ていた時期ですが、病気以後の表現がその前とは大きく
変化したことはよく知られています。(48歳で没) この曲についても別に1953年に
ベルリンフィルと録音した覇気溢れる演奏とは別人のようになっています。
この録音ではオケはベルリンフィルや同時期のムラヴィンスキーのレニングラードフィル
のような名人芸は無いかもしれませんが、主情的で「悲愴」という名称に相応しい
濃厚で深みのある解釈と演奏になっています。

感銘度: A+
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。)
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テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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