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2017.09.04 (Mon)

桐朋アカデミー・オーケストラ 特別演奏会

桐朋アカデミー・オーケストラ特別演奏会
2017.9.3 富山市、オーバードホール

指揮:クリスティアン・アルミンク



(プログラム)
 ウェーバー:劇付随音楽「トゥーランドット」op.17より序曲 
 ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
 ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」
 ※アンコールはなし

本日の編成は14型。後半のツェムリンスキーは楽譜通りの4管で金管はトランペット3、
ホルン6、トロンボーン4、チューバ1の編成。
指揮のアルミンクは2003年から10年間新日本フィルの音楽監督をされた方で名前は
よく知っていましたが実演に接するのは今回が初めて。富山にも初めての登場です。

プロの講師陣にはコンマスに神戸室内合奏団の白井圭さん、チェロにニューヨークフィル
の工藤すみれさん、フルートに新日本フィル首席の白尾彰さん、ティンパニには同じく
新日本フィル首席の近藤高顯さんが参加されていました。

今回はマイナーな選曲のためか、また公演日が八尾町の「おわら風の盆」祭りと重なった
ことから来客数が減ると判断されたのか通常会員には2枚チケットが郵送されてくるの
ですが今回は3枚も送付されていました。そのせいかホールは普段と同じくらい9割近く
席は埋まっていたと思います。

ウェーバー:劇付随音楽「トゥーランドット」op.17より序曲 
 ウェーバーのトゥーランドット序曲は4分ほどの珍しい曲ですが、この後に演奏された
 ヒンデミットの曲で使用される主題となる曲になります。ややヒンデミットの前振り的な
 演奏となりましたが、できればプレトークとかあってこの曲の説明とかあったら初めて
 聞く人にも楽しめたのかもしれません。
 演奏自体は冒頭のピッコロから幾分ゆったりとしたテンポ設定でしたが、繰り返される
 フレーズを丁寧に示していたと思います。

 指揮者のアルミンクさんはプログラミングにも曲の関係性を見出すことが多いのか、
 新日本フィルと録音したCDにもブラームスの交響曲第1番とマーラーの交響曲第3番
 をカップリングにした珍しいCDがあります。私も持っているのですがこのCDでは
 ブラームスの第4楽章の有名な旋律とマーラーの第1楽章の冒頭旋律が酷似している
 ことがきっかけとなっているようです。

ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
 4曲ともに精度の高い安定感のある上手い演奏でしたが、丁寧過ぎるかなという感じも
 しました。1曲目の切り込むようなヴァイオリンの主題や2曲目のボレロのように繰り返
 されるトゥーランドットの主題にはさらにメリハリや毒気があってもと思います。
 しかしソロは見事なもので1楽章の木管セクション、3楽章後半の長大なフルートソロも
 聴き応えがありましたし、2楽章もトロンボーンから始まるジャズ的なフレーズやバック
 で鳴るフラッターやトリルの響きは面白く、金管も4楽章冒頭など一体感のある響きが
 印象的でした。

ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」
 この曲は題名くらいしか知らなかったのでリッカルト・シャイーやトーマス・ダウスゴー
 指揮のCDを最近よく聴いていたのですが面白い曲だと思います。
 1903年頃の作曲でシェーンベルクの「ペレアスとメリザント」と一緒に初演されたそう
 ですが、後期ロマン派の雰囲気をそのまま残した曲で繊細さとスケールの大きさはどこか
 R・シュトラウスの交響詩を聴くような趣があります。
 アンデルセンの人魚姫の童話のストーリーをそのまま曲で表現されていて繰り返される
 人魚姫の主題を軸に話の情景がそのまま音楽として感じられ、ディズニーの映画音楽と
 してもそのまま使えそうな気がします。

 演奏は細部までよくコントロールされた演奏で1楽章は冒頭の深い響きから弦楽、木管の
 ゆらめくようなしなやかな表情が美しく、後半の嵐の場面では豪快な響きが良く発揮され
 ていました。
 2楽章は冒頭箇所で繰り返される華やかなフレーズでホルンセクションにさらに力感が
 あればとも思いましたが、続く伸びやかなチェロのフレーズや木管が爽やかに示され、
 楽章を通して刻々と変わる表情が良く再現されていたと思います。終結部のホルンの
 ソロも安定感のある響きを聴かせていました。
 3楽章では陰鬱で悲劇的な情景の描写も丹念なものでしたが、終盤第1楽章冒頭主題の
 再帰後、弦楽での最弱音から次第に浄化されるような大きなクライマックスへの作りが
 なかなか感動的でした。
 ラストは消え入るように終わるところでフライング気味の拍手が入ったのが残念でしたが
 全体にテンポ設定やフレーズの歌い方など丹念によく表現された表情でこの曲の魅力が
 よく伝わっていたと思います。オケの演奏も総じて安定感があり良かったと思います。

3曲ともマイナーなせいか、観客の拍手がいまひとつ盛り上がらないのは仕方ないところ
ですが、(拍手のタイミングもおっかなびっくり的)知らない曲でも聴いてみようとホール
に大勢の観客の足が向くことは良いことだと思います。

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テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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*Comment

今回の演奏、なかなか良かったと思います
これといった大きなキズもなかったと思いますし…
なのに、拍手がさみしい、ブラボーも誰も叫ばない、
フライング拍手で、ちょっとどよめいたくらい(汗)

そうですか、やっぱりあの反応は曲がマイナーということもあるんですね…
でも、桐朋の皆さんには、是非ともこういう曲をこれからも実演してもらいたいですね…

そういう私も、今回は初めて聴く曲ばかりでしたが、とくに人魚姫は
物語の中に入り込んでしまい、もう一度聴きたくなってしまって早速
CDを購入して、今聴いているところです^_^;
ひつじいさん |  2017.09.05(火) 16:09 |  URL |  【コメント編集】

■Re: タイトルなし

ひつじいさん

コメントありがとうございます。
私も「人魚姫」は最近結構はまってyoutubeとかでもいろいろ
探して聴いていました。隠れた名曲だと思いますね。

たぶんほとんどの人が無料の会員チケットで来ていると思うので
名曲も良いのですが、普通の有料演奏会ではお客さんが呼べない
ような珍しい曲もジャンジャン演奏して欲しいと思いますね。
そういう意味では11月の公演もメインがシューマンの交響曲
第2番ってわりとシブい選曲で楽しみにしています。


越中富山 |  2017.09.05(火) 20:07 |  URL |  【コメント編集】

こんばんは。
七味もオーバード初見参でした。
越中さんもいらしてるんだろうなぁ、と思いつつ・・・。
なかなかチャレンジングなプログラムでしたね。
ブログにも書いたのですが、音が飛んでこない・・・。ちょっと驚きでした。
中央J列の12番辺りで聴いてましたが、音響的にベストな席はどの辺りなんでしょう。

七味とうがらし |  2017.09.05(火) 20:22 |  URL |  【コメント編集】

■Re: タイトルなし

七味とうがらしさん

いつもありがとうございます。
オーバード初見参でしたか、ホールの響きに驚かれたようですね。
オーバードホールは、三面半舞台とかステージ設備には力が入って
いてミュージカルやオペラでは効果を発揮するのですが、純粋な
オケの公演では他の大ホールに比べて響きが乾いていて艶や伸びが
ないと思います。まだ県内では魚津市の新川文化ホール(ミラージュ
ホール)辺りの方が豊かな音がすると思います。

私はいつも階上の3階席の1列目の中央で聴くようにしています。
オーバードは1階部分の後ろの傾斜のあるところを2階としている
ので3階席は通常のホールの2階席に相当します。
気持ち1階や2階席よりは音が豊かに聴こえるような気がしますが
階上の席も屋根がかかる3列目より後ろになるととたんに音がこもる
感じがして難しいところです。

もうこのホールの響きには慣れていつもこんなものだとあきらめて
聴いていますが。。。(笑)

越中富山 |  2017.09.05(火) 22:33 |  URL |  【コメント編集】

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