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2016.11.17 (Thu)

マーラー 交響曲第1番 ラトル&バーミンガム市響

ラトル_マラ1(1991)

マーラー
交響曲第1番ニ長調「巨人」

指揮:サイモン・ラトル
   バーミンガム市交響楽団

録音:1991.12.16-19 バーミンガム、シンフォニーホール(ライブ)
レーベル:EMI

録音は大きな不満は無いもののこの頃のEMIの傾向が感じられ、年代にしては木管楽器
よりも後方の楽器の抜けやクリアさがもう一つといった感じがします。残響もそれなり
ですが、ホールというよりスタジオ的。もう少し伸びと広がりがあればと思います。
またライブ録音ですがノイズは取り去られ、演奏後の盛大な拍手がなければライブとは
思わない位です。ラトル36歳の録音になります。
このCDは「花の章」付きですが、2楽章の位置には置かず、冒頭に収録されています。

花の章 7:19
 冒頭のトランペットから落ち着いた丁寧な表現で示されます。テンポも中庸、曲想に
 相応しい語り口で伸び伸びとした歌と健康的な響きが聴かれます。
 情緒的な雰囲気も穏やかに良く表現されていてことさら影の部分を強調することは
 なく、率直に細部まで大切に演奏されています。

第1楽章 16:15
 テンポは中庸での開始。端正で穏やかな進行で主部のチェロの入りの箇所も優しい
 響きでしなやかに歌われます。テンポが速くなるような箇所では陽気とも言える
 軽やかさもありますが、8分過ぎのフルートソロ以降ではかなりブレーキがかかり
 チェロの繊細なフレーズなど沈み込むような切なく深い響きやあまり聴いたことの
 ない木管のバランス感が印象的です。
 終盤の強奏では頂点のホルンのユニゾンでのしゃくり上げ(362小節)が引き締まった
 厚い響きで力強く、時折強いテンポの変化も見せながら溌剌とした表情になって
 います。ラストのティンパニの箇所も強い打撃と間のコントラストが大胆に示され
 パーカス出身のラトルらしい表現といえます。

第2楽章 8:00
 厚く響く低弦がたくましいですが、勢いよりはガッシリとした骨組みの強さを感じ、
 しっかりと地に足が着いた表現です。テンポは中庸。
 中間部は独特の表現でしなやかな流れよりはやや遅めのテンポで各フレーズの表情を
 しっかりと描くような語り口で面白い方向性となっています。
 後半もやや遅めに入って次第にテンポを上げてゆく演出が感じられます。

第3楽章 11:30
 冒頭のコントラバスのソロから落ち着いたモノトーンで繋いでゆき、楽器の響きは起伏
 を作らず平行的な響きとなっています。
 オーボエ2本のフレーズからはテンポの緩急や表情付けはかなり思い切りの良い表現で
 中間部のノスタルジー的な箇所もヴァイオリンの弱音はくっきりとした明確で艶のある
 音型で奏でられます。
 後半も同時に鳴らされるフレーズ(トランペットのフレーズと低音で奏されるこの楽章
 の主題など)の対比が強調されパロディ的な要素や暗部の表現も曖昧さのないクリアさ
 としなやかな流れ(やや怪しい雰囲気もある)を持っています。

第4楽章 20:45
 冒頭はさほど急がずスケール感のある開始、必要にして十分の威力のある響きです。
 金管はがなり立てるほどではありませんが、まとまり感のあるものでパーカス群も
 よく鳴っています。意外に随所で強い溜めが聴かれます。
 第2主題は実に落ち着いた丹念な進行で呼吸感が感じられ、高揚した箇所のフレー
 ジングも間の取り方に独特の処理がされています。
 展開部もストレートでたくましい表現がなかなか強力。その後の緩徐部は第2主題
 と同様に非常に丁寧な進行と透明度の高い響きが作られます。
 終盤へ向けては分厚くリズムを刻むコントラバスの勢いが印象的。最終部に入って
 からのオケの開放も余裕のある表現で低音が厚く響き堂々たるもの。意外に粘着的
 な傾向もありますが、ラストはアッチェレをかけてライブらしい熱気を持って終結
 します。

全体にやや説明的なところもないではないですが、特に緩徐部の叙情的な表現が
特徴的で新鮮にまた細やかに良く歌われています。36歳とは思えない円熟も感じ
られます。後年ベルリンフィルとはこの曲は再録音しなかったようですが、(ブルー
レイの映像商品はあるようです)聴いてみたいものです。

感銘度: A
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。
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テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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