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2016.11.12 (Sat)

マーラー 交響曲第1番 アバド&ベルリンフィル(1989)

アバド_マラ1_ベルリンフィル

マーラー
交響曲第1番ニ長調「巨人」

指揮:クラウディオ・アバド
   ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

録音:1989.12 ベルリン、フィルハーモニー(ライブ)
レーベル:グラモフォン

録音はライブ録音によるものですが、公演の模様をそのまま録音したような状態で会場の
咳や椅子のきしむ音など編集されずそのままですし、楽章間のオケの慣らしの音や会場の
ノイズ、また演奏のミスもそのままでこの頃のグラモフォンでは珍しい録音だと思います。
オケとは適度な距離でホールの響きも豊か、抜けも良くクリアです。やや高音にクセが
ある感じでパーカスにもう少し芯があればとも思いますが、レンジも広く良好です。

第1楽章 15:55
 冒頭からテンポはやや遅め(1981年のシカゴ響ほどではないですが)で入念な進行です。
 ホルン2本で開始されるフレーズも雰囲気のある美しい響きを聴かせます。主部のチェロ
 以降も随所に繊細さが感じられるもので微妙なテンポの変化や表情付けが丁寧にされて
 います。中間部の開放感も爽やかに躍動感をもって響きます。
 8分以降の緩徐部ではシカゴ響との録音同様に弱音の表現が徹底されていて、チェロの
 フレーズの扱いも指示が細かく出ているように感じます。
 また弦楽のグリッサンドの処理もよく表現されていて余裕のあるテンポと落ち着きの
 ある語り口といえます。クライマックスへの過程も先を急がずに大きな起伏をもって
 頂点に達し、開放感のある明るい響きを基調とした充実した響きになっています。
 ラストも適度な緊迫感を持ち引き締まった響きです。

第2楽章 7:11
 堂々とした表現でスタートしますが、5小節目から急に加速がかかる珍しい表現です。
 楽譜では確かに5小節目に付点二分音符=66の指定があるのですが、冒頭箇所に
 急がないの指定もあるだけにこのテンポ指示が冒頭部からなのか5小節目からの
 テンポ変化を示すものなのか判断は難しいところです。シカゴ響との録音の際も
 微妙に加速がかかっていますが、この録音ではアクセルの踏込み方が顕著です。
 また冒頭部はリピートがありますが、14小節目にffで入ってくるソロホルンが2回目に
 1小節早く派手にフライングしていて珍しく事故。(手持ちCDは昔に買ったものですが
 編集の修正はされていません。最近の再発盤はどうかわかりません。)
 弦楽は十分に分厚く、力感と躍動感あふれる表現でライブならではの勢いがあります。
 トリオは中庸のテンポながらもダイナミクスや細かな緩急、表情付けがされていてくどい
 ほどではありませんが、細かい指示が出ていることが感じられます。
 後半も覇気にあふれるもので終結部の降下するトロンボーンも良く鳴っています。

第3楽章 10:29
 冒頭からのソロは流石に上手いものです。テンポは中庸かやや速めで流れの良いもの
 ですが、やはりグリッサンド指定がよく意識された表現で丁寧で透明感のある響きです。
 どこか冷感も感じられる響きで中間部ヴァイオリンの郷愁感のあるフレーズではかすれる
 ような繊細なPPが強調され艶かしく、ヴァイオリンの2重ソロやホルンのオブリガード
 辺りはどこか怪しい雰囲気が無いでもないです。
 後半も緩急や表情に手の込んだ解釈が感じられます

第4楽章 20:03
 テンポは中庸。豪壮な響きはいかにもベルリンフィルらしいものですが、アバドにしては
 意外にホリの深い表現でフレーズの終わりなど粘着的な傾向も感じられます。第2主題は
 その前のブリッジ部から随分とネットリと入ってゆきます。ヴァイオリンはかなり湿度の
 高い表情付けで進行してゆきますが、後半の高揚はたたみかけるような熱さがあります。
 展開部の表情もオケの威力を感じさせる豪快なもの。その後の緩徐部もやはりゆったりと
 してもので粘着的な深い語り口が印象的です。オーボエソロももったいぶるような表情
 が印象的です。
 終盤は大きな溜めと呼吸感でスケールの大きなもの。分厚く威力のある金管は流石です。
 ラストはアッチェレをかけてたくましく締めくくりますが、ラストの一発には楽譜にない
 バスドラが入っています。拍手歓声もそのまま入っています。

随分と久しぶりにこのCDを聴きましたが意外に手の込んだ表情付けがされ、アバドに
してはやや神経質ともいえますが、よく練られた表情豊かな解釈だと思います。
シカゴ響との録音の方が率直な表現ですが、こちらも見事な演奏だと思います。

感銘度: A
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。
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テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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