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2016.10.30 (Sun)

ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団 富山公演(2016.10.29)

ハンガリーフィル_20161029

ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団 富山公演
2016.10.29 富山市、オーバードホール

ピアノ:仲道郁代
指揮:小林研一郎

(プログラム)
 ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番、第6番、第5番
 グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調op.16
 ベルリオーズ:幻想交響曲op.14a
(アンコール)
 マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
 ベルリオーズ:幻想交響曲 第5楽章より終盤

このオケは随分昔(1988年)に名古屋で聴いたことがあります。その頃はまだ
ハンガリー国立交響楽団という名称でしたが、コバケンが既に常任指揮者を
していました。
(聴いた公演はアダム・フィッシャーの指揮だったと思います。)

今回の公演は、14型での編成。チェロパートを右側前列に並べる配置は最近では
珍しいと思うのですが、パンフレットの写真などで全てこの配置なのでこのオケの
伝統的なもののようです。
いつの間にかコバケンも76歳になり、炎のコバケンと呼ばれるような歳でもないよう
な気がするのですが、指揮振りは年齢を感じさせないもので幻想の終楽章などでは
ピョンピョン、ジャンプするような動きもあったりとまだまだ元気な指揮振りです。
相変わらずおしゃべりも好きなようで今回もハンガリー舞曲の3曲は1曲終わるたびに
ハンガリーの国やら曲の説明があって、終始和やかなコンサートな雰囲気の公演に
なりました。

ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番、第6番、第5番

第1番は冒頭から重厚感たっぷりに鳴らされる弦楽の響きがなかなか印象的で、瞬発
力や機動力よりも朗々としなやかに歌うことに重点がおかれています。第6番も通常
聴かれるしなやかで軽快な曲想にかなり極端な緩急付けが行われスローな開始から
次第に加速する演出が個性的。第5番ではさらにデフォルメしたような表現でコバケ
ン自身がトークで「やりすぎかな」とか言いながらもゆったりとした歌い出しから
テンポアップしてゆく濃厚な表情付けを見せていました。
面白いですがやはり少々やりすぎでダサクなる寸前という感じがしました。

グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調op.16

仲道さんはデビューして30周年ということで今年53歳!デビュー当時から知っていま
すが、今でも容姿は変わらず若々しく、パンフには生年や年齢などは書いてないので
知らない人は30代位のピアニストかと思っていた人も多いのではないでしょうか。
(ちょっと言い過ぎか。。。)

第1楽章 冒頭から実に堂々とした開始。コバケンのテンポはかなり遅めでこの曲の
イメージからすると重厚過ぎる音楽運びですが、深い陰影を作りながらゆったりと
進行します。仲道さんのソロも落ち着き払った表情と余裕が感じられ、特に終盤の
カデンツァでの深い呼吸感の感じられるスケール感と堂々とした豊かな響きは実に
見事なものでした。

第2楽章 ここもテンポは遅めで冒頭からの弦楽がゆったり切なく響きます。ピアノも
タッチが美しく、入念な語りと微妙な間合いが印象に残ります。オケもホルンや木管
など安定した上手いソロで、幻想的ともいえる雰囲気を作りだしていました。

第3楽章も基本的にテンポは遅めですが、ピアノの旋律でメリハリの効いた緩急付け
がされていて躍動感や伸びやかさには不足はありません。
またオケ側の重厚さはかなりのもので、終盤やラストでの雄大なスケール感は充実感
に溢れ鳥肌ものでした。
この曲をこれほど落ち着いたテンポと深い音調で表現された演奏は今まで聴いたこと
が無いと思います。実に見事な演奏だったと思います。

ベルリオーズ:幻想交響曲op.14a

第1楽章は冒頭からやはりかなり遅い開始です。朴訥ともいえる語り口で各部が丁寧
過ぎるほどの律儀な進行。もう少し緩急の変化や勢いがあってもと思う箇所も無いで
はないのですが、一貫して遅めのインテンポで剛直さが示されます。
オケの方も全体に渋い響きですが、ホルンパートなど安定感と表情の豊かさが感じ
られます。楽章の終盤の盛り上がりも軽々しくなることは無く、端正な表情で通して
います。

第2楽章 この楽章もテンポは遅め。曲の流れはお世辞にも良いとは思わないのです
が、落ち着き払った率直な表現で押してゆきます。もっと流麗で軽やかさが欲しい
ところですが、品のある表情といえばそうかもしれません。

第3楽章 テンポはやはり遅めです。ユニークなのがイングリッシュホルンのソロに
呼応するオーボエソロの箇所で通常ステージ裏で演奏されますが、客席3階席の端
に奏者をおいて演奏、コバケンが都度振り向いて指揮をしていました。珍しい演出で
すが、山びこのようにホール内に響き、面白いものでした。
以降も丹念な作りですが、やや丁寧すぎて後半の盛り上がりなどはさらに激しく急迫
するテンポや表現があってもと感じたところもあります。
終盤のティンパニの部分は流石に表情豊かで豪快な響きでした。

第4楽章 この楽章からは通常のテンポ感での進行。力がこもった表現で金管は突出
することなく一体感のある渋い鳴り方で安っぽくなる事はありません。
トロンボーンパートは3人共に常にベルをやや斜め下に向けた奏法であまり直接音
がこないのが気になりますが、チューバと共に分厚い響きとなって響いていました。
ラストのファンファーレもたっぷりと鳴らし威力十分。

第5楽章 ここも図太い表現で通していて軽快なクラリネットソロのフレーズ以降も
さほどテンポ速いものではなく余裕のある重厚な響き。鐘が入る前の低弦のフレーズ
は尋常でないほど異様に分厚く鳴らし印象付けます。
鐘はチューブラーベルでなくちゃんとベル形の鐘を使い鳴らしていました。
「怒りの日」の主題以降もデモーニッシュさは控えめ、またダイナミクスや緩急に過剰
に変化を加える事無く、堂々たるスケールとボリューム感で全体を締め括っていました。

(アンコール)
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
序奏となる部分からゆったり、ねっとりとした開始はロマンティック過ぎる位ですが、
この曲が好きな人にはたまらない表情かもしれません。主部は端正な表現で良く
歌っていました。

最後にコバケンのあいさつがあり、幻想の第5楽章の弦楽のコル・レーニョ奏法の
箇所からラストまで演奏され、幕となりました。

公演を通してコバケンも随分と円熟した感じがして、パッションはやや薄れたかなと
いう気もしましたが、丹念な音楽作りと音楽に対する熱い思いはトークからもよく伝わ
ってきました。個人的にはグリーグの演奏が特に印象に残りました。

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テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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