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2016.09.18 (Sun)

京都市交響楽団 魚津特別公演(2016.9.17)



京都市交響楽団 魚津特別公演
2016.9.17 魚津市、新川文化ホール(ミラージュホール)

ヴァイオリン:三浦 文彰
指揮:下野 竜也

プログラム
 シューマン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 
 マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」
アンコール
 「真田丸」オープニングテーマ

ミラージュホールで聴くのは2012年以来、その時も京都市交響楽団の公演でした。
(指揮:広上淳一)このホールは1200席規模のホールですが、富山では豊かな響きを
持つホールとして知られています。録音会場としても使用されることも多く、ピアニスト
のイリーナ・メジューエワさんはこのホールで多数のCDを録音しています。

ミラージュホール
(壁面は可変式の反響板)

シューマン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 
シューマンのヴァイオリン協奏曲は頻繁に演奏される曲ではないので(特に地方では)
富山で聴けるのは嬉しいです。富山で過去にプロが演奏した記憶も無いのでは、私も
実演に接するのは今回が初めてです。
オケは12型。この曲の編成としては標準かと思いますが、良く響くホールのせいか、
オケは実に豊かに鳴っていました。

第1楽章は、冒頭から堂々とクレッシェンドし、恰幅の良い開始。さほど暗さや運命的な
気分を感じさせない表情、テンポも中庸です。三浦さんのヴァイオリンも太く良く鳴り、
神経質になる事なく明快で安定感のある表現。オケ同様に豊かな色調で示していました。
ソロの難所も危なげなくスムースにこなしていたと思います。

第2楽章ではこの曲が長くクララによって封印される原因になったシューマンの遺作と
同じ旋律「天使の主題」が聴かれます。甘美になったり、神経質になる事なく伸びやか
で芯の強い表現で通していました。

第3楽章は曲調から楽譜指定よりも速めに演奏する録音もあるのですが(クレーメル等)、
指定どおりの落ち着いたテンポで各所をもてあますことなく、詩情豊かに歌いこんでいた
と思います。
この曲はカデンツァも無く、またさほど派手な展開も無いのでソリストにとっては、
なかなか聴かせるのが難しい曲ですが、演奏は強い個性は無いものの明快でボリューム
感のある演奏で良かったと思います。


マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」
こちらの編成は14型、コントラバスは7本。金管はスコアどおり。(トランペット、
トロンボーン各1人がホルンの後ろで補強に入ってました。)

第1楽章、冒頭から安定感があり低音から高音まで重層的なハーモニーがホールに良く
響きます。テンポは中庸より速め。ステージ裏で鳴るトランペットはステージドアを
閉めていたのでややこもりがち気味な気もしました。
クラリネット主席の女性奏者は非常に気合の入ったカッコーフレーズの演奏(音が鋭く
デカイ音)で少々浮いている位でしたが、やる気マンマン具合が伝わってきます。
全体に音楽の流れはスムースそのもので爽やかな表情。強奏される箇所ではテンポを一段
アップさせて引き締まった響きを演出します。何だか先まで展開が見えてしまうような
感じもしましたが、若々しく率直な表現は悪くありません。終盤に向けてもストレートな
盛り上げ方でラストの爆発的な響きにつなげていました。終結部のオケとティンパニの
掛け合いもスピード感のある鋭い締め括りはなかなか見事。

第2楽章、テンポはかなり速め。抜群の躍動感と覇気溢れる進行で聴かせます。 
ベルアップも木管セクションはタイミング、角度も揃っていて見応えも十分。実演なら
ではの楽しさです。
中間部はブリッジのホルン導入から速く、入ってからもテンポはサラサラと流れてゆき
ます。さっぱりし過ぎの感もあってノーテンキな位ですが、筋は通っていました。

第3楽章、開始のテンポは中庸。コントラバスからつながる各ソロも安定感のあるもの。
オーボエから始まるフレーズからはテンポが上がり、アクセントを付けて軽い吹奏で
絡んでくるトランペットは少々変わった表情を作っていたと思います。
中盤もさらりとしたスッキリ系の響き、色合いでしっとりとした表情は控えめです。
終盤では諧謔的な面を強く意識した速いテンポでコントラストを強く打ち出していました。

第4楽章、開始からの激烈な表情はかなりのもので、急迫するテンポとキレ味鋭い表現は
アンサンブルを犠牲にしている感もしましたが壮絶そのもの。豪放的に突き進む音楽は
凄みのある表現。一方で続くヴァイオリンの第2主題は、個人的にこの曲の美味しい箇所
だと思うのですが、さらさらと味気なく進行で味気ない感じ。フレーズ終盤の高揚は
それなりなのですが、やはり少々物足りない気も...
中間部の展開も一気呵成に突き進む力技の展開で、特に374小節でのリタルダンド&
ポーズ後の猛烈なトウッティ(fff)は実に眩い響きです。
2度目の緩徐部も深みや粘りを抑えた端正な響きで推移。終盤はオケを大きく開放し、
ひたすら豪快な響きで圧倒、ラストのアッチェレもオケが崩れる寸前の激しい追い込み
で怒涛の終結。

全体に下野さんにしてはかなり力技の演奏だなぁと思いましたが、熱気溢れる大音響は
こちらまで熱くなりました。実演で聴くマーラーの醍醐味です、良かったです。
オケも1楽章前半にやや不安定な箇所はありましたが特に大きな傷も無く、金管はどの
パートも素晴らしく良く鳴っていました。

20160918-kso_uozu_03.jpg
(京都市交響楽団のブログより当日の模様)

「巨人」の演奏後、一部の客が帰ろうとしたところ下野さんが、
「おきゃくさま~、かえらないでぇ~、アンコールありますぅ」とおねぇ言葉で発した
のには会場も大爆笑、下野さんらしい人柄です。
アンコールは三浦さんも再登場し、このコンビならではの演奏でした。(オケは違いますが)

しかし今回は客の入りがかなり悪かったです。300人~400人位でしょうか、私は2階席に
いましたが、40人位しかいなかったような気がします。
この秋は富山でのオケの各種公演が多いせいなのか、不景気なのかわかりませんが、
京響の人には申し訳ない気がしました。また富山に是非来て欲しいです。


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テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

23:15  |  富山・金沢の演奏会を聴く  |  TB(0)  |  CM(6)  |  EDIT  |  Top↑

*Comment

■寂しいですね・・・

客席の半分以下は何とも寂しいですね。
指揮者とオーケストラには申し訳ない感じですね。
魚津は私のような西部の人には遠いのと、「巨人」は残念ながらまだなじみがないのかもしれません。
相変わらずクラシック音楽では集客に苦労しているのが現状でしょうか。
以前金沢で例年冬に開催の東芝グランドコンサートでも、曲目によってか集まりが芳しくなく東芝の社員さんが大勢サクラで座っていたと聞いています。
オーバードホールや石川県立音楽堂など立派な施設があるのに、なかなか音楽文化が育たないのが残念です。
ぐちやま |  2016.09.21(水) 14:24 |  URL |  【コメント編集】

■Re: 寂しいですね・・・

そうですね。チケットも4500円で低価格だったのですが、
これでは公演をしてもオケ側の営業面では厳しいですね。

一方で桐朋アカデミーオーケストラは春、秋に各3公演ずつオーバード等
で開催されていますが、ここ5年前位から5千円の入会金を払えば永久会員
として毎回チケットが2枚送付されてくる方式になりました。
年々会員は増えて現在は2千人以上になっていると思います。公演も以前は
500人位だったのが毎回8~9割は入るようになっています。
タダ同然でレベルの高い演奏が聴けるのは嬉しいですが、お客さんは年配
60歳以上の方がほとんどで、若い人、学生がほとんどいないのが寂しいです。

今週末、桐朋を聴きに行きます。プログラムは、
シマノフスキ:演奏会用序曲
R・シュトラウス:オーボエ協奏曲
ブルックナー:交響曲第3番

富山では普段なかなか聴けないプログラムで楽しみですが、
お客さんの入りはどうかな?

越中富山 |  2016.09.22(木) 01:00 |  URL |  【コメント編集】

そんなにお客さんが少なかったのですね…

そのちょうど1週間前には
「京都市交響楽団 創立60周年記念 広上淳一×五嶋みどり 」という演奏会が京都、他であって、それはどこも大盛況のようでしたから、実に対照的ですね…
(その演奏会は私も行きたかったのですが、あっという間にチケット完売になってました…)

もしこの演奏会が魚津であったら、どうだったでしょう…

なお、私が同日行ってきたOEK定期(アシュケナージ指揮)も空席が結構ありました。
ひつじいさん |  2016.09.22(木) 15:23 |  URL |  【コメント編集】

■Re: タイトルなし

京響の60周年記念の公演、私もネットで知りました。
チャイコのvn協奏曲にシェエラザードの公演ですよね。

五嶋さんが出演となるとやはり知名度も高いので完売となりますよね。

昔、オーバードでバイエルン放送響、ヤンソンス指揮の公演があり、
五嶋さんがソリストで演奏されたことがありました。(シベリウスvnコン)
その時はほぼ完売だったような気がします。(オケも超一流ですが)

OEKも多彩なプログラムで頑張ってますよね。
今月の山田一樹さんの公演はフォーレのレクイエムとか凄く
聴きたかったのですが、都合で行けませんでした。

アシュケナージの公演もシューベルトとか良かったみたいですね。



越中富山 |  2016.09.23(金) 00:55 |  URL |  【コメント編集】

■翌日の…

コンサートが重なってしまった連休でしたね
同時間帯で、京都市響とOEK、翌日はN響。やはりN響は8割超入っていたと思います。
ころん |  2016.10.04(火) 23:29 |  URL |  【コメント編集】

■Re: 翌日の…

ころんさん

N響はヤルヴィ指揮で「展覧会の絵」とかですよね。
N響はやはりお客さんが入りますね。

そういえば来年1月8日に高岡文化ホールで広上淳一さんの
指揮でN響が来ますね。
できればもう少し大きなホールで聴きたいのですが。。。









越中富山 |  2016.10.08(土) 00:59 |  URL |  【コメント編集】

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