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2016.08.02 (Tue)

マーラー 交響曲第1番 ハイティンク&ベルリンフィル(1987)

ハイティンク_マラ1_1987

マーラー
交響曲第1番ニ長調「巨人」

指揮:ベルナルト・ハイティンク
    ベルリンフィルハーモニー管弦楽団  

録音:1987.4.1-2 ベルリン、フィルハーモニー
レーベル:PHILIPS(最近はDECCA扱いになっているようです。)

録音はオケと適度な距離ですが少々マルチ的なところも。適度な残響とクリア
な音像、スケール感でPHILIPレーベルらしい艶やかさが感じられる録音です。
ハイティンクには1962年にコンセルトヘボウ、1987年の当盤、2008年のシカゴ響
と同曲を録音しています。(まだあるかも)当盤はハイティンク58歳の録音です。

第1楽章 16:33
 テンポは中庸で端正で洗練された表情と響きで進行します。遠方から鳴る
 トランペットも十分な距離をもって響きます。穏やかな表情としなやかな歌が
 特徴的ですんなりと受け入れられる自然な表情。厚く響くホルンセクション
 も堂々とした響きを作ります。
 中盤9分辺りからはテンポを落とし、チェロの表情などは入念さと落ち着きの
 ある上品な響きが感じられます。確かな足取りは先を急ぐ事はありません。
 14分過ぎにようやくエンジン点火といった感じになりますが、張りのある表情は
 十分に引き締まり、金管はホルンを中心に豪快に響き渡ります。

第2楽章 7:45
 テンポは中庸位、整然としたリズムですが十分に弾力感が感じられます。
 トリオも大きくテンポを振るような事は無く、淡々とした素直な語り口ですが、
 自然に湧き上がるほのかなセンチメンタルな情感が漂います。
 後半も前半同様にバランス志向です。

第3楽章 11:18
 冒頭はやや速めのテンポ。コントラバスの上手いソロから感傷的な気分が素朴
 に表出されます。幾分しなやかな表情に傾斜していてテンポの揺れも適度で
 抑揚はさほど大きくはありませんが率直な表現です。
 中間のヴァイオリンから開始する穏やかなフレーズも淡く、幻想的な雰囲気
 が感じられます。また終盤のパロディ的な箇所も節度を軽々しくなる事は無く、
 美しく響きます。

第4楽章 21:12 
 冒頭から急速なテンポを取って意外に緊迫感の高い表現を繰り広げます。
 オケを激しく豪快にたたみ掛けるストレートな表現で精度の高いアンサンブルで
 こなしてゆきます。
 第2主題は一転、かなりゆったりとしたテンポですが端正な表情で神経質に
 なること無く美しい語り口。フレーズ後半の高揚もじわりとボリューム感を次第
 に出してゆきます。
 中間部の強奏も実に堂々としたオケの図太い鳴りで正面勝負といった感じで
 大袈裟になることなくオケを開放します。
 1楽章の回想後辺りからぐっとテンポを落として弦楽による弱音部の入念な
 彫刻が印象的、徐々に音楽の厚みを増してゆきます。
 終盤はテンポに余裕が在り金管、特にホルン、トランペットの分厚く重みのある
 響きは十分に鳴らし切り、音楽が浮き足立つのを抑えています。ラストのアッチェレ
 も自然で納得の終結です。

ハイティンクもバーンスタイン同様に若い時からマーラーのスペシャリストですが、
聞かせる音楽はかなり異なり、ハイティンクは質実剛健で大人の音楽といえます。
若さはち切れるところはありませんが、楽譜から無理なく要素が語られていて、
この指揮者ならではの安心感のあるマーラーです。

感銘度: A
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。)

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テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

22:52  |  マーラー 交響曲第1番  |  TB(0)  |  CM(6)  |  EDIT  |  Top↑

*Comment

こんばんは。
結局デジタル録音によるマーラー全集は小澤に取られてしまった格好となったハイティンクでしたね。ベルリンとのマーラーは当時、気に入っていて一つづつ買っていました。でも現在手元に残っているのは3番だけです。
あまりにも手堅い演奏、安心感、安定感のある演奏過ぎて・・・。そこが魅力といえば魅力なんでしょうが。
七味とうがらし |  2016.08.03(水) 21:34 |  URL |  【コメント編集】

■Re: タイトルなし

いつもありがとうございます。

ハイティンク、ベルリンフィルの録音の後には他に多種多様、個性的な
演奏がたくさん録音されて堅実で手堅い演奏というのはだんだん影が
薄くなってきたかも知れませんね。
私もこのCDは普段は聴いてなくて随分久し振り(10年振り位)に聴いた
気がします。演奏は悪くはないのですけどね。




越中富山 |  2016.08.04(木) 00:15 |  URL |  【コメント編集】

ご無沙汰しております。
カラヤンオタクのようで恐縮ですが、カラヤンの1番の録音が無いので彼の存命中のベルリンフィルの1番と5番を買いました。カラヤンとハイティンクと比較するつもりはありませんでしたがハイティンクさんには少々恐縮しています(笑)。当時のベルリンの音ではありましたが、お二人のように私も何となく無難な演奏に聴こえて以降は購入しておりません。1番も5番もたまには聴いていますが・・・
ぐちやま |  2016.08.04(木) 20:06 |  URL |  【コメント編集】

■Re: タイトルなし

ぐちやまさん、お久し振りです。

そうですね、確かにカラヤンのマーラーは4、5、6、9番だけだったと
思います。ハイティンクの後のベルリンフィルのマーラーとなるとはアバドに
なるのかな。
カラヤンのマーラーはいかにもやっぱりカラヤンらしくて面白いと思いますが、
「復活」は録音して欲しかったなぁと思います。




越中富山 |  2016.08.05(金) 00:09 |  URL |  【コメント編集】

おぉ~。カラヤンの復活!あったら是非聴いてみたいですね。
一番メジャーな1番を録れてないあたり、こだわりアリですね。
大地の歌は結構好きな演奏になるでしょうか?
ハイティンクはへボウとの全集を持っているのですが、こちらも悪く言えばなんだか中途半端な感じがします。でもへボウは上手い!
七味とうがらし |  2016.08.05(金) 18:53 |  URL |  【コメント編集】

■Re: タイトルなし

そうでした、カラヤンには大地の歌もありましたね。

あまり大地の歌は聴かない曲なのですが、カラヤンの録音は
バーンスタイン等とは対極的な美感の漂う演奏だったような
気がします。

ハイティンクとヘボウの全集、私も持っているのですが、
これまた随分聴いてない。。。。聴いてみよっと。

越中富山 |  2016.08.05(金) 23:18 |  URL |  【コメント編集】

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