2018.02.02 (Fri)
ブラームス 大学祝典序曲 ショルティ&シカゴ響
ブラームス
大学祝典序曲op.80
指揮:ゲオルグ・ショルティ
シカゴ交響楽団
録音:1978.5 シカゴ、メディナ・テンプル
レーベル:LONDON
録音はアナログ末期のものですが、デジタル初期のものよりは弾力感や立体感の
感じられるものでよい録音だと思います。このコンビの録音の中でもホールの残響
も適度に感じられスケール豊かに響きます。演奏時間は10:32と標準的です。
冒頭から颯爽としていますが、開始フレーズの後半部分で四分音符をテヌート気味
に引っ張るのが少々変わっています。(タンタタ・タンタタでなくタータタ・タータタ)
低減もよく響いていてどこか物々しい雰囲気もします。
トランペット2本で開始する「僕らは立派な学び舎を建てた」のフレーズは2本の
開始の音程が合ってなくていまひとつな感じですが、頂点に向けて分厚くふくらみ
トランペットを中心に高らかに盛り上がってゆく様はいかにもこのコンビらしい
響きです。
強奏部に入ってからも太くガッシリとした筋肉質な響きとぐいぐいと前進する語り口は
たくましく勢いがあります。テンポは中庸です。
ヴァイオリンの「祖国の父」のフレーズはヴァイオリンのパリッと張りのある直線的な
響きですが、続くクラリネットなどの木管は意外にまろやかな響きに応えていてハード
な響き一辺倒という感じはしません。
ファゴットからの「新入生の歌」のフレーズはモゴモゴなりがちですが流石
に一音一音明快で元気に響きます。展開部にかけてもゴリゴリとした剛直な響きやあおる
ように走り出しそうになるフレーズがショルティの指揮姿を彷彿させます。
またホルンのゲシュトップの箇所はオープンは無く、全てゲシュトップ奏法で通して
います。
終盤の8:30~8:50辺りは幾分勢いをゆるめて余裕をもたせ最終部へ再スタート。
「だから愉快にやろうじゃないか」はテンポをやや落として一音一音ガッシリと響かせて
ゆきます。シカゴ響らしい分厚い金管の響きは度を越すことはありませんが、それでも
トロンボーンは他のオケのものよりはバンバン鳴らしています。パーカスもバスドラと
シンバルのパンチが祝砲の様に豪快に響き、祝典的な気分を盛り上げてゆきます。
終結部は意外に粘着的な傾向になるのも興味深いところです。
全体にアンサンブルはもう少しかなという感じはしますが、このコンビらしいパワフル
な合奏力で聞かせる予想通りの横綱相撲というところでしょうか。
感銘度: A-
5段階( A+ A A- B+ B )
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