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2017.04.29 (Sat)

ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番 マズア&チャン&ドレスデンフィル

チャン_ブルッフ_no1

ブルッフ
ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調op.26

ヴァイオリン:サラ・チャン
指揮:クルト・マズア
   ドレスデンフィルハーモニー管弦楽団

録音:2009.5.15&16  ドレスデン、聖ルカ教会
レーベル:EMI

録音はヴァイオリン、オケともにかなり近く目前に大きく展開します。特にヴァイオリン
はかなりピックアップした感じで実演ではありえないようなバランスですが、音色の細部
まで繊細に聞き取れます。ルカ教会での録音で残響も豊かなものですが、響き過ぎること
は無く、直接音を中心に再現されます。

第1楽章 7:55
 楽譜では冒頭ad libitum(自由に)となっているのでソリストの個性が強く示される箇所
 ですが、チャンの演奏はf指定に拘らず震えるようにかすれた音色とゆったりと哀愁
 漂う語り口が印象的です。主部に入ってからは艶のある音色と強いしなりとうねりを
 持たせた激しい起伏は独特で強く引き付けられます。燃焼度の高さと力感は同郷の
 チョン・キョンファ(サラ・チャンは韓国系アメリカ人ではあるが)を思い浮かべます
 が、チャンもかなりのめり込むような集中力を感じます。
 オケはややダンゴ気味になるところはあるもののスケール感は十分。マズアの指揮
 は堅実なものですが次第に熱くなってゆき、7:15辺りではマズアがあおるように
 唸っているのが聴こえてきます。

第2楽章 7:42
 かなりヴィブラートの強い弾き方で神経質な表情が感じられる表現ですが、音楽の
 流れは悪くありません。ヴィブラートがどこか心の震えのようにも聴こえ、繊細かつ
 大胆な響きは入念さと多彩な響きを作り出しています。
 終盤では遅いテンポ設定の中、伸びやかに高弦でのフレーズを歌い上げてゆく箇所も
 美しいものです。

第3楽章 7:02
 ここでもチャンの音色の豊かさは素晴らしいもので躍動感と溌剌さに満ちた表現を
 繰り広げます。主部のキレと艶やかさ、また2分台での渋みのある厚い雄弁な音から
 華やかな軽やかな響きまで見事なものでテクニックにも余裕が感じられます。
 オケの厚い響きも効果的で豊かな音楽性が示されます。ラストの追い込みも痛快で
 豪快に締め括ります。

録音の主張がやや強い感じもしますが、チャンのしなりとうなりで聴かせる熱いヴァイ
オリンは確かに個性的でこの曲の録音の中でも聴き応えのある一枚だと思います。
何だか1楽章などはどこか二胡の響きにも似たような感じに私は聴こえました。

感銘度: A
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.04.22 (Sat)

桐朋アカデミー・オーケストラ 第54回定期演奏会

ナビル・シェハタ
ナビル・シェハタ
藤原浜雄
藤原浜雄

桐朋アカデミー・オーケストラ 第54回定期演奏会
2017.4.21 富山市、オーバード・ホール

ヴァイオリン:藤原浜雄
指揮:ナビル・シェハタ

(プログラム)
オール・ベートーヴェン
 レオノーレ序曲第3番op.72b
 ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.61
 交響曲第7番イ長調op.92

昨年金沢市でナビル・シェハタ指揮、新日本フィルハーモニーのホルスト「惑星」の
公演を聴く機会があり、オーケストラを強くドライヴして若々しく明快な響きを
聴かせる方という印象を持っていたのですが、桐朋公演に登場とは少々驚きでした。
24歳でベルリンフィルの首席コントラバス奏者となり6年間務めていたそうですが、
昨今は指揮者としての活動が多いそうです。現在37歳。

今日の編成は10型。対抗配置でコントラバスは左手に4本、通常の2管編成です。

レオノーレ序曲第3番op.72b
 冒頭からやや不安定な感じでヴァイオリンの主題が入ってからようやく調子が出て
 きたような感じ。この指揮者らしい躍動感はあるもののやや軽いかなという印象で
 もう少し重厚さがあってもと思いました。ただ舞台裏のトランペットやフルートソロは
 安定したものでしたし、終盤の弦楽の急速な掛け合いの箇所は鮮やかなアンサンブル
 を聴かせていました。

ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.61
 桐朋公演のプログラムで協奏曲のソリストは教授が担当する場合が多く、今回も重鎮的
 な存在の藤原浜雄さんが登場。2012年まで読売日本交響楽団のソロコンマスを務めて
 いましたが今年70歳。定番の曲とはいえ長丁場で心身ともに体力の要る曲だけにどんな
 演奏になるか少々心配な気もしていました。

 第1楽章は序奏からシェハタさんのテンポはやや速め。オケの方もかなりボリューム感の
 ある響きでティンパニなどもやや強めに効かせる今時のスタイル。
 ヴァイオリンソロは背筋がキリリと通るような端整さで余計なものは付け加えないと
 いった雰囲気が漂います。私はこの方の他の演奏は聴いたことがないのですが若い頃から
 こんな感じだったのでしょうか。速いフレーズなどではピッチなど気になる箇所もない
 ではないですが実演の範囲内。伸びやかさよりも内に向かうような表現です。
 カデンツァはクライスラーのものですが軋むような激しい響きが印象的。
 第2楽章は落ち着いたテンポ感の中でやや細身の透明感のある響きが印象的。
 ピチカート伴奏の箇所でも美しい響きが聴かれました。
 第3楽章もヴァイオリンの主題が渋く格調高く響きます。華のある演奏ではありません
 が真摯さやひたむきさが伝わります。終盤でのカデンツァも力のこもったもので見事な
 表現でした。

交響曲第7番イ長調op.92

 第1楽章、冒頭は随分とたっぷりとした音価をもって開始します。音楽が走り出す
 まではややレガートな響きが聴かれますが、加速すると流石に弾力感のある響きが
 聴かれます。前曲で良かったティンパニもこの曲ではやや固めのマレットに交換して
 いるようで強い打撃が躍動感を増しています。全体に速いフレーズでは勢いがあって
 良いのですが弱音の箇所になると、管楽器セクション(ホルンなど)に不安定さや
 アンサンブルの粗が出てしまうのは少々残念なところです。

 第2楽章もシェハタさんはさほど神経質にはならず太く厚めに響かせます。テンポは
 中庸ですがインテンポ調で淡々としたもの。木管セクションのフレーズにはもう少し
 一体感のある歌があっても良いかなと思います。

 第3楽章はフィナーレを想起させるキレの感じられるもので手際の良い表現。
 中間部の木管も結構なボリューム感があって良い感じでしたが、高揚したところで
 響き渡るはずのトランペットが腰砕け状態、どうしたのでしょうか。

 第4楽章は素晴らしく気迫に満ちた表現。テンポはかなり速めの設定できしむように
 鳴り響く弦楽はスリリング。編成は決して大きくないですがアグレッシブな表情は
 この指揮者らしさが感じられました。何より凄かったのはティンパニで高速テンポを
 常に強打で叩きまくる様はまるでロックのドラムといった迫力で素晴らしかったです。
 (一方終盤のトランペットはやはり音量が足りなく惜しい。)

この曲は終わり良ければといった感じなので結構楽しめましたが、細部よりも勢いに
任せてしまった感もしました。6月の公演にまた期待したいと思います。

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.04.04 (Tue)

ワーグナー 管弦楽集 若杉 弘&ドレスデン・シュターツカペレ

若杉_ワーグナー

ワーグナー
管弦楽集
1.歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
2.歌劇「タンホイザー」序曲
3.歌劇「リエンツィ」序曲
4.歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
5.歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲

指揮:若杉 弘
   ドレスデン・シュターツカペレ

録音:1984.12.17-21 ドレスデン、ルカ教会
レーベル:SONY

録音はこのオケといえばルカ教会になりますが、この録音でも豊かな残響とボリューム感
のある音響になっています。オケは弦楽が近く金管はやや距離がありますがホールの響き
を伴ってワーグナーに相応しい分厚い響きを聴かせます。ただ強奏部ではやや高音が硬直
する傾向があり、高弦やシンバルがやや耳障りになる箇所もありますがメリハリの強さと
スケール感のある録音です。若杉さん49歳、常任指揮者のポストであった時の録音になり
ます。

歌劇「さまよえるオランダ人」序曲 11:05

 冒頭からやや速めのテンポで開始、主題のホルンセクションは雄渾に厚く鳴り響きます。
 メリハリの効いた切れ味の鋭い進行でティンパニのアクセントも威力があります。
 解釈自体は大仰に構えるようなことはありませんが、強奏部の勇ましい鳴り方は当時
 のこのオケらしいパワフルさと剛直さがよく感じられます。緩徐部ではイングリッシュ
 ホルンのソロなども上手いもので各木管奏者がしっとりと歌い上げています。
 終盤も弦楽の勢いのある無窮動の上昇フレーズ以降、やや速めのテンポ設定で引き締
 まった表情と豪快な主題の高揚は図太く豪快に響き渡ります。

歌劇「タンホイザー」序曲 15:27

 弱音での開始フレーズでは木管群とともにホルンの柔らかい響きが全体を包みこむ響きが
 個性的です。(ホルンはおそらく首席のペーター・ダムだと思われます。)
 トロンボーンのユニゾンは少々ラフな感じですが、バックの弦楽のリズム音形はかなり
 ガッチリと強調されるのが印象的です。(やや録音で強調されている面もありますが)
 中間部では弦楽をややレガート気味に鳴らしてボリューム感のある響きと生き生きと
 した表情を作っています。テンポは中庸で基本的に率直ですが明快な表現です。
 終盤もオケの高揚が強力でドイツ式トロンボーンの強奏は独特の威力が感じられ、また
 ホルンセクションも対抗するようにうなりを上げる様は実に逞しく響き渡ります。

歌劇「リエンツィ」序曲 12:17

 開始からテンポはやや遅めで入念で深い響きが感じられます。弦楽の主部フレーズの入り
 も落ち着きと優しさが感じられる語り口が美しいもの。次第に緊張感が増してゆくところ
 もじっくりと隙が無く確固とした足取りで金管の入りも堂々たるスケールと恰幅の良さが
 なかなかです。
 中盤以降は中庸のテンポ設定で流れは良くなり勢いも増してゆきます。終盤の高揚も
 躍動感のある金管の開放が爽快で高らかに鳴り渡るトランペットの響きが印象的です。

歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲 9:17

 テンポはやや速めで弦楽はしなやかに流れます。あまり情に流されるような事は無く、
 さらりとした感触ながらも録音の傾向で高弦の響きはやや硬質な感じもないではない
 ですが清らかな雰囲気は十分に漂います。
 中間部での高揚も強いアタックを効かせシンバルが刺激的に響き劇的な表現を聴かせ
 ます。終盤も前半同様に凛とした響きで清らかに締め括ります。

歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲 2:59

 開始からハツラツとした起動の速いスタートです。主旋律をとるホルンやトロンボーン
 セクションは分厚く豪快に鳴り渡ります。
 中間部もクリアな木管楽器の伸びのある歌が爽やか。後半も重低音を効かせる金管の
 豪放的な音響が強力に響き、勢いのある表情を作り上げています。

録音がされた頃はまだ東西ドイツ時代でオケの響きもまだ現代のように洗練されてなく
味があります。(この頃の首席指揮者はブロムシュテット)この録音でもややワイルドな
位の躍動感と図太いオケの響きが聴かれます。
若杉氏の解釈は率直な表現で無理はありませんが、曲を真正面から捉えていて堂々たる
ワーグナーを作り上げています。もう少し録音が良ければとも思いますが、思いのほか
良い演奏だと思います。

若杉さんの実演は学生時代に名古屋で一度だけ聴いたことがあります。(1985年11月)
京響との演奏でメインはブルックナーの交響曲第4番だったのですが、その頃はまだ
珍しかった第1稿での演奏で今も記憶に残っています。

感銘度: A
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.03.25 (Sat)

ドヴォルザーク 交響曲第8番 シルヴェストリ&ロンドンフィル

シルヴェストリ_ドボ8_1957

ドヴォルザーク
交響曲第8番ト長調op.88

指揮:コンスタンティン・シルヴェストリ
    ロンドンフィルハーモニー管弦楽団

録音:1957.6&7 ロンドン、キングスウェイホール
レーベル:EMI

録音はステレオ初期のためヒスノイズがあったり、トロンボーンの強奏が平板な響きに
なっていたりと少々時代を感じますが、個々の音は意外にしっかりとしていてクリアさ
も十分、弦楽も量感や艶が感じられます。残響も適度に感じられ録音年にしては大きな
不満はありません。

第1楽章 9:16
 テンポはやや速め、冒頭の弦楽主題からフレージングが特徴的で小節毎に起伏を持たせて
 しなやかに奏でられます。次第にテンポが上がってくる箇所になると一気に加速して
 速いテンポで走り出します。ティンパニ強打の後のチェロのフレーズも潔いものでしな
 やかさよりは直線的な表情。メリハリの効いたアクセントや四分音符を短めに処理する
 などスポーティさと躍動感が強調されて実に爽やかです。また場面毎のテンポ設定も
 急激に変化する箇所が多くユニークな表現が聴かれます。
 強奏部も頂点前に溜めをつくるような事は無くストレートに開放し、終盤でも指定のない
 アッチェレをかけるなど独特で意欲と熱気が感じられます。

第2楽章 9:55
 開始のフレーズはやや間を意識するようなところがあり、少々風変わりな語り口です。
 テンポはやや速めでもたれずにさっぱりとした傾向で意志の強さが感じられ、2分過ぎの
 たたみ掛けるようなフレーズや4分過ぎの強奏部もやや前のめり気味の勢いがあります。
 ホルンの陰鬱なユニゾンフレーズ以降も硬派で鋭角的な表情がユニーク、ティンパニの
 打込みもバンバンと生々しく迫力があります。
 後半の緩徐部ではこの指揮者独特のイントネーションが感じられ表情豊かで生き生きと
 した歌が聴かれます。終盤の高揚もメリハリの効いたダイナミクスもたくましいです。
 ただアンサンブルは少々ラフな感じもします。

第3楽章 6:05
 テンポは中庸。弦楽の主題は小節頭の音符をフワリと軽く押す抑揚感が面白いです。
 中間部はオーボエをしっとりと歌わせ、弦楽は伸びやかさと爽やかな歌で聴かれます。
 後半、弦楽フレーズの再現部(3:46)ではグッとゆったりとしたテンポから開始、かなり
 鼻に付く様なセンチな表情ですが、前半とはまた違った表情で示しているのが興味深い
 ところです。

第4楽章 9:41
 トランペットのファンファーレはやや軽めのタッチ、弦楽の開始フレーズも独特な歌い
 回しにハッとさせられます。またフレーズ後半はアクセント付けと明快な表情が印象的。
 テンポが上がる箇所はやはり速めのテンポ設定でフルートをコロコロと飛ばしてノリの
 良い進行を見せます。
 中盤5分過ぎからの緩徐部はチェロのフレーズの語尾を微妙に改変しているようです。
 またテンポの揺れもかなり気分的な感じですが、遅めのテンポでしっとりと歌い上げて
 います。ラストに向けての追込みも速いテンポで躍動感十分。金管は録音のせいかトロン
 ボーンがかなりパリパリしますが、一気に突っ走る引き締まった終結です。

シルヴェストリというとどの録音もユニークな演奏が多いですが、この録音は一見、
メリハリの効いた躍動感のある演奏という印象ですが、良く聴くと緩徐部の弦楽器を
中心にユニークなフレージングが多く聴かれなかなか斬新な表現の演奏です。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.03.19 (Sun)

ドヴォルザーク 交響曲第8番 カラヤン&ベルリンフィル(1979)

カラヤン_ドボ8_1979

ドヴォルザーク
交響曲第8番ト長調op.88

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
   ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

録音:1979.1 ベルリン、フィルハーモニー
レーベル:EMI

録音は適度な距離感で大きくオケが広がりますが、年代にしては強奏部など少々もやもや
して透明度はいまひとつ。オケの音自体は低音も厚く重厚そのものでティンパニの強打
など非常にたくましく響きます。同時期の新世界交響曲やワーグナーの管弦楽集の録音と
同様の音質傾向です。

第1楽章 9:39
 冒頭から速めのテンポとりますが、チェロの主題はテヌート、レガートが効き過ぎて
 音形がよくわからない程の滑らかさになっています。流麗さと爽やかさを基調とした
 進行は随分と垢抜けしたもので民族的な香りよりも洗練された感覚が独特でカラヤン
 らしい表現です。
 強奏部での金管や低弦は強力なものですが、それにもましてティンパニの打ち込みは
 まるでマシンガンのように響き、凄みが効いています。

第2楽章 11:20
 開始の弦楽のフレーズは小節の頭に強めのアクセントが置かれているのが珍しい解釈
 です。またフルートの音も随分とホールに響くのも印象的(やや人工的かな)です。
 テンポは中庸で滑らかなタッチとボリューム感があり美しい進行です。
 7:13頃からのホルンの強奏する悲劇的なフレーズからはテンポを落としてじっくりと
 表現。重厚な表現ですがさほど角張らず以降も曲想の変化も唐突感無くしなやかさが
 感じられます。
 但しラスト近くのたくましい低弦やティンパニは尋常で無い力感が感じられます。

第3楽章 5:38
 テンポは速め、弦楽は流麗でしなるように響きます。ポルタメント的な滑らかさと
 颯爽とした流れが交差するスタイリッシュな表現はゾクッとするような感覚を覚えます。
 この手の曲調はカラヤンの手にかかると流石に上手いものです。
 中間部も朴訥とした感じはありませんが、弦楽には艶やかな歌が聴かれます。

第4楽章 9:44
 冒頭のトランペットは当時のベルリンフィルらしい壮麗な響きです。落ち着いた弦楽の
 開始から次第に躍動感が増してきますが、テンポが上がる箇所からはかなり速めのテンポ
 設定で豪快に開放。ここでもティンパニの打ち込みは強力そのもので中間部の盛り上げも
 華やかです。
 メリハリの付け方も大きな落差があり、5:03からのチェロで始まるフレーズもやり過ぎな
 位の弱音が印象的。終盤もすっきりとした味わいでローカル的な響きはあまり感じません
 が、7分台の緩徐部では中庸のテンポでしなやかに歌い上げます。
 ラストの急迫するクライマックスは流石に豪快でトロンボーンがかなりビリビリ鳴って
 いますが引き締まったテンポで強く終えます。

随分久しぶりにこの録音を聴きました。この演奏は洗練された解釈がのせいか一般的には
評判はあまり良くなかったような気がしますが今聴いてみるとカラヤン全盛の70年代の
豪華で華やかな表現が何だか新鮮さに感じられ面白く聴きました。
時代が変わるとまた聴こえ方も変わってくるような気がします。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.03.05 (Sun)

ドヴォルザーク 交響曲第8番 ジュリーニ&シカゴ響

ジュリーニ_ドボ8_1978

ドヴォルザーク
交響曲第8番ト長調op.88

指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
   シカゴ交響楽団

録音:1978.5 シカゴ、オーケストラホール
レーベル:グラモフォン

録音はこのホールでの録音としてはDECCAのものよりも残響が感じられます。
ティンパニはもう少しクリアさがあればとも思いますが、全体に遠近感も十分で
スケール感もあり、アナログ末期の良い録音だと思います。
ジュリーニの唸りも随所で聞こえてきます。

第1楽章 10:50
 冒頭から甘くなり過ぎることはなく落ち着いた端正な開始です。フルートソロ後、
 テンポが上がる箇所からはチェロセクションを豊かに鳴らした表現にハッとさせら
 れます。テンポはやや遅めですが弱音でのしなやかな表現は当時のショルティでは
 出せない感覚です。各楽器の明快な響きはオケの特色でもあるかと思いますが、
 流石で細部までカッチリとよく鳴らして歌わせてゆきます。
 強奏部ではやはりシカゴ響らしいバーンと鳴る金管はいかにもといった感じですが、
 力ずくにはならずに開放感と余裕があります。

第2楽章 11:27
 テンポは遅めで冒頭から穏やかさよりはどこかおごそかな雰囲気が漂います。
 間の取り方や進行も余裕があり落ち着いています。ヴァイオリンソロ以降の高揚
 してゆく箇所も実に堂々たる表情で金管につないでゆき格調の高い仕上げです。
 ホルンの悲劇的な咆哮やその後の牧歌的な歌や憂愁さを覚える切ない曲想など
 次々と変遷して表情のまとまりが難しい楽章ですが、どの箇所もじっくりと示して
 いて安っぽくならないのが良いかと思います。ラストも低弦とホルンをたくましく
 太く響かせています。

第3楽章 6:50
 テンポはやはりやや遅め。一般的に流麗でロマンティックで甘い歌が聴かれますが、
 ここではかなり重心の低い表現で腰の重さを感じる重厚さに特色があります。
 テヌート、レガート調の表現は粘りがあり聴く人好みが分かれそうですが、太く
 ゆったりと流れる音楽は安っぽくなくて独特の心地良さが感じられます。
 中盤の低弦のリズムも実に明確な響きで終盤も木管金管ともにガッシリと鳴らして
 います。

第4楽章 10:39
 冒頭のトランペットは意外に落ち着いたバランスのとれたもの。続くチェロのフレーズ
 も開始に溜めを作ることなく端正な表情です。
 全奏でテンポが上がる箇所もテンポはやや遅めでお祭り騒ぎといった感じはなく重厚さ
 に重きが置かれていてややヨッコラドッコラショといった感じもなくはないですが
 その分強奏部でも細部まで明確に動きが聞き取れます。
 勢いに任せることなく、また吹き飛ばすこともない表情はよくコントロールが効いて
 いますがやや丁寧過ぎるかなとも思います。また中盤の緩徐部は中庸のテンポながらも
 バックで鳴るファゴット辺りが表情豊かに良く歌われているのが印象的です。
 終盤の懐かしい雰囲気も淡い響き。ラストはさほど加速せずに太いタッチで全体を
 まとめ上げています。

ドヴォルザークらしい民族性は希薄で純音楽的な解釈で進められていますが、細部まで
丹念に彫刻された表現です。晩年のコンセルトヘボウとの録音(1990)ではさらに表現が
重くなりますが、この演奏では適度な重厚さと歌の感じられる表現です。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.02.25 (Sat)

ヤナーチェク シンフォニエッタ ラトル&フィルハーモニア管

ラトル_シンフォニエッタ_1982

ヤナーチェク
シンフォニエッタ

指揮:サイモン・ラトル
   フィルハーモニア管弦楽団

録音:1982.11 ロンドン、キングスウェイホール
レーベル:EMI

録音は適度な距離感で金管セクションは曲に相応しい豪快な響きで鳴り響きます。
トランペットだけでなくトロンボーンやチューバなど中低音の金管もしっかりと
録られています。
全体に当時のEMI特有の曇り感は若干感じられますがホールも良く鳴っていて
スケール感は十分です。

第1楽章 2:16
 やや速めのテンポで開始。金管の鳴りは英国らしい明朗さとバネのある響きで華々しい
 もの。ベースで鳴るトロンボーンもバリバリとかなり強く吹かせているのが印象的です。
 やや英国ブラバン的ですが、ひたすら押してゆくストレートで開放的な表現です。

第2楽章 5:39
 ここでも開始からミュートを付けたトロンボーンが相当騒々しい響きを聴かせていて
 ユニークですが思い切りの良さが感じられます。テンポも速めで前進性の強い表情。
 中間部などもう少し広がりと落ち着きがあっても思いますが鋭く攻めます。
 ラトルの「ウッ、ウッ」とリズムをとる声も聴こえ、何だか縦ノリ的にリズムを強調
 してゆきますがパーカス出身者らしいところかもしれません。

第3楽章 5:23
 前半の抒情的な箇所も当然甘くなることはなくチューバを太く鳴らして堂々とした
 響きを作ってゆきます。
 トロンボーン、チューバのアンサンブルの箇所はなかなか重心の低い硬派な響きで
 良いと思いますが、トロンボーンソロの終盤の吹きにくい箇所はスライドの動きで
 カバーしているような感じにも聴こえます。
 後半はかなり力が入り過ぎた感じで粗さもありますが豪快です。ピッコロなども
 良く鳴っています。

第4楽章 2:50
 テンポはやや速め、トランペットに呼応する低弦が実にたくましく力感を持って響き
 ます。中間部も率直な表現でテンポ変化は控えめ。後半にかけてもメリハリ重視で
 各楽器が良く鳴っています。

第5楽章 6:44
 穏やかな入りで進められますが、弦楽で奏でられるリズムの扱いは実にくっきりとした
 もので強く主張、木管ソロも思い切りの良いもので強く響きます。
 前半からかなり緊張感の高いテンションで各楽器とも強いアタックで鳴らしてゆきます。
 金管の冒頭再現部は壮麗というよりは華々しい響きと勢いが勝っていて豪快そのもの。
 強弱にはやや極端な箇所(5:33)なども聴かれますがなかなか堂に入ったものです。
 終盤は地から盛り上がるような壮大さよりは若々しいタッチで描き上げるといった感じ。
 ラストの音は長めに処理していて余韻の感じられる終結です。

ラトルの録音では初期のもので27歳の時の録音になります。
モラヴィラ地方の民族的な雰囲気はやや希薄ですが、若々しい気迫やキレ味、開放感の
感じられる演奏で痛快な表現です。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

00:24  |  ヤナーチェク  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.02.17 (Fri)

チャイコフスキー 交響曲第4番 ザンデルリンク&ベルリン響

ザンデルリンク_チャイ4
チャイコフスキー
交響曲第4番へ短調op.36

指揮:クルト・ザンデルリンク
   ベルリン交響楽団

録音:1979.6.7-9,12 旧東ベルリン イエス・キリスト教会
レーベル:DENON

録音は当時の日本コロンビアがPCM機材を持ち込んで録音したもの。イエス・キリスト
教会というとカラヤン&ベルリンフィルが思い浮かびますが、こちらは同名の旧東ドイツの
教会で音響も異なります。適度な残響はありますがオケは弦がやや近く、金管はやや遠く
に位置している感じで間接的な響きの要素が多めです。PCMデジタルなのでクリアです
が音質としては幾分硬さが感じられます。

第1楽章 20:43
 冒頭のファンファーレ句は気合の入ったものでホール(教会)が響くこともあり豪快に
 鳴ります。主部の入りも沈静した空間からさらりと率直な語り口で開始。オケの表情は
 音色的にもやや武骨さを感じるもので洗練や流麗とは遠い感じですが、フレーズの強弱
 には微妙な変化が感じられます。
 5:50からのクラリネットのフレーズ辺りも少々ひなびたローカル的な雰囲気が印象的。
 8:33の金管が入ってくる強奏部も慌てることなく堂々たるテンポで重心の低い音響を
 聴かせます。まだ東ドイツ時代なのでホルンセクションの響きはロシア調で滑らかさと
 ほの暗さがよく感じられます。
 高揚する箇所でもけたたましく発散するよりは落ち着きや重厚さに傾斜していますが、
 要所ではガツンと効かせています。
 終盤も必要以上にテンポを動かすことも見得を切ることもありませんが緊張感を持って
 堂々と締め括ります。

第2楽章 10:11
 テンポは中庸、インテンポ基調でオーボエソロも淡々とした進行ですが、素っ気無い
 感じはなく自然な哀愁が漂ってきます。また弦楽はほの暗く太い芯のある響きで聴か
 せます。4:12からの木管(クラリネット)のフレーズからはややゆったりとテヌート調
 の表情が印象的。以降の弦楽が絡む高揚ももったいぶるような所が無くストレートに
 大きく膨らんでゆきます。
 弦楽をしっかりと鳴らした真摯なスタイルで飾らないものですが終盤は荒涼とした
 風景が確かに感じられます。

第3楽章 5:59
 テンポは中庸か若干遅めです。ピチカートのアンサンブルも落ち着いた温かみの感じ
 られるもので低弦から高弦までよく揃います。
 中間部もやはり幾分遅めでカッチリ系の表情ですがローカル的な木管の音色が素朴に
 響きます。後半はどこかおどけた楽しげな感じが伝わる表現です。

第4楽章 9:06
 テンポは中庸であまり急迫する勢いはありませんが豪快に響きます。やや弦楽がマイク
 に近いバランスのせいか強奏では弦楽が主体となってギシギシと鳴って迫ってきます。
 トランペットやトロンボーンは頑張って吹いていますがやや距離があり残響と共に響く
 感じでトロンボーンはややオルガン的です。
 音符を明確に鳴らしてゆくタイプで奇をてらうようなところもなく自然体な姿勢で無理
 がありません。冒頭主題の再現部も率直で端正な回帰。
 終盤のテンポも安定したもので幾分加速しますが妥当的で堂々たる終結となります。

この曲ではテクニックや力技で聴かせる演奏も多いですが、この演奏は燻し銀的な
渋い演奏で通しています。オケはあまり器用とはいえない感じですが旧東ドイツの響き
を残していてほの暗い音色に味があります。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

23:25  |  チャイコフスキー  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.02.13 (Mon)

チャイコフスキー 交響曲第4番 バーンスタイン&ニューヨークフィル(1989)

バーンスタイン_チャイ4_1989

チャイコフスキー
交響曲第4番へ短調op.36

指揮:レナード・バーンスタイン
   ニューヨークフィルハーモニック

録音:1989.10 ニューヨーク、エイヴリー・フィッシャーホール
レーベル:グラモフォン

録音はオケに近くクリアなもの。パーカスや低音も効いていて威力のある音響です。
このホールでの録音はあまり残響が豊かな印象はありませんがほどほどといった印象。
ホルンセクションがもう少し厚みのある音で録られていればとも思いますがこのオケの
特徴は良く感じられます。
バーンスタイン71歳、亡くなる1年前の録音です。

第1楽章 21:15
 冒頭のファンファーレ句は開始こそ普通のテンポ感ですが下降してトロンボーンが入る
 箇所からグッとブレーキがかかり重量感たっぷりの豪壮な響き。(ホルンセクションの
 少々軽い響きが惜しいです)主部に入る辺りも極端に遅く十分な間の後、神経質で憂鬱
 な気分を振りまきながらヴァイオリンが歌いだします。
 テンポは緩急の差が大きく自由そのもの。弱音部では概してテンポは遅くレガート調な
 表現となっていますが、強壮するクライマックスに向けて加速してゆきます。
 11:25からの弦楽の上昇フレーズもテンポを大きく揺らしながら進行、13:14辺りに
 かけてネットリと溜めを作りながら膨らんでゆくのがユニークです。
 欝な気分でトボトボと進行する箇所と突然火が付いたように膨大なエネルギーを発散
 する箇所が交錯してゆきます。終盤も19:46から猛烈なアッチェレをかけたかと思うと
 ラストのフレーズで濃厚にたっぷりと主張するなどかなり極端な表情を作っています。

第2楽章 12:03
 テンポは遅いです。オーボエソロは通常以上に哀愁を帯びた歌ですがやや間延びした
 印象もします。弦楽での第2主題などもヨッコラドッコラショといった重さを覚える
 ほどですが揺るがず通しています。
 5:30以降の弦楽のフレーズは楽器を重ねてゆくロマンティックな箇所ですがさすがに
 大きなボリューム感を持たせていて濃厚な味付けです。
 7:13頃の木管がソロで下降、上昇する箇所での弦楽の響きも随分と感傷的な歌い方。
 終盤にかけてもフレーズの丹念さは相変わらずで拡大して聴かせる感じですが、次第に
 テンポを落とし寂寥感よりも悲観的な雰囲気が増すのが独特です。

第3楽章 5:38
 ピチカートの箇所は一転して通常よりも速めのテンポ感で躍動感十分。
 中間部は逆に遅めで愛らしさよりも朴訥とした雰囲気が漂います。後半は前半よりも
 さらに速めでノリの良さが感じられ老いを感じるようなところは一切ありません。

第4楽章 9:33
 テンポは中庸での開始。分厚い音響で金管低音(バストロンボーン、チューバ)の音も
 豪快に支えています。1:42からの落ち着いたオーボエの副主題からはやはり遅めの
 テンポを取り旋律を十分に歌わせますが、5:37からの金管での同フレーズでは加速、
 ここでもチューバやバストロはブンブン鳴りまくり、強奏する冒頭フレーズの打込み
 も壮絶そのもの。また直後の沈静する箇所での意味深なほどの入念さが印象的です。
 終盤は次第に加速し激しい追い込みを見せ、かなり速いテンポになりますがオケは
 鮮やかなキレとリズム感を持ってたくましくラストまで突き抜けます。

バーンスタイン晩年の録音は濃厚な表現が多いものが多いですがこの録音も非常に
喜怒哀楽の激しい音楽作りで深い感情移入を持ち込んだユニークな表現です。
チャイコフスキーよりもバーンスタイン色が強くやり過ぎ感は感じるものの晩年まで
枯れることのない強い表現意欲には驚かされます。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )


テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.02.04 (Sat)

ドビュッシー 交響詩「海」 ミュンシュ&パリ管

ミュンシュ_海1967

ドビュッシー
交響詩「海」
(管弦楽のための3つの素描「海」)

指揮:シャルル・ミュンシュ
   パリ管弦楽団

録音:1967.11.14 パリ、シャンゼリゼ劇場(ライブ)
レーベル:Altus

パリ管弦楽団、発足記念演奏会でのライブ録音。
当日のプログラムは、
 ベルリオーズ:幻想交響曲
 ドビュッシー:海
 ストラヴィンスキー:レクイエム・カンティクルス の3曲。

録音年代は古いですが音質は非常に生々しくクリアそのものでライブの熱気をよく
伝えています。録音はオケに近く残響は少ないですがオケの分厚い響きは圧倒的で
聴き応えがあります。

1.海の夜明けから真昼まで 9:40
 開始のテンポはじっくりと腰のすわった遅い進行で何かを予感させるような感があります
 が主部に入ると一転急加速。フレーズ毎に緩急の幅を極端なほどにつけたテンポ設定には
 かなり驚かされます。箇所によってはギクシャクするほどですが強い主張を聴かせます。
 チェロの4分割される箇所(楽譜上は16人必要ですが実際は通常は10人程度で演奏)も
 人数は不明ですが張りのある分厚い響きが印象的。その後も緩徐部の粘着感や躍動的な
 箇所での開放感は自由さに満ちています。
 終盤でのテンションの高さも尋常ではなく金管やパーカス(特にシンバル)の豪快さは
 唖然とするほどで楽譜にないアッチェレまでかかります。

2.波の戯れ 6:37
 テンポは速め。閃きの感じられる情熱的な語り口でリズムの切れ味やメリハリの付け方
 は相当なもので、別の曲を聴くような感じさえします。
 中盤辺りでもテンポは急迫する場面があり驚かされます。ミュンシュは指揮のたびに
 テンポが変わることでも知られていましたが、即興的な感じもしないでもないです。
 終始ハツラツとした響きが強烈で終盤になってようやく落ち着きが感じられます。

3.風と海の対話 7:58
 冒頭からの威圧的とも言える低弦などの重厚さは何かを予感させます。トランペットの
 ソロ句も叫ぶような響きで緊迫感十分。直後のティンパニの打撃、休止の箇所では、
 ミュンシュが「ウァー」と大声で叫んでいます。(怖い!)
 その後もテンポは速く筋肉質の筋張った音響に驚かされます。
 3:30頃からのホルンのフレーズで落ち着きが感じられますがバックに流れる弦楽の鋭さは
 やはり強烈で低弦のピチカートもバルトーク的。
 4:35からの高弦、フルート、オーボエでの深遠な響きの箇所も張り詰めた緊迫感が支配
 します。ラストに向けてはテンポの加速が強烈でひたすらたたみ掛けてゆき、金管の
 フレーズもスケール感よりは疾走する勢いがもうどうにも止まらないといった感じで
 引きつったような豪快な響きで締め括ります。

海の描写というよりは大嵐のような感情の爆発といった感じ。荒れ狂うミュンシュの指揮
が思い浮かぶような度肝を抜かれる演奏です。
この頃のパリ管(パリ音楽院管)というとアンサンブルがラフなイメージもありますが、
発足演奏会ということもあり気合が入った演奏となっています。
通常のこの曲のイメージとはほど遠いですが痛快で圧倒的な表現が素晴らしいです。
並録の幻想交響曲も有名なセッション盤以上に強烈な演奏です。

感銘度: A 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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