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2017.10.20 (Fri)

チャイコフスキー 交響曲第6番 ショルティ&シカゴ響

ショルティ_悲愴1976
レコードでのジャケットです。

チャイコフスキー
交響曲第6番ロ短調op.74「悲愴」

指揮:サー・ゲオルグ・ショルティ
   シカゴ交響楽団

録音:1976.5 シカゴ、メディナ・テンプル
レーベル:LONDON(DECCA)

録音はオケとやや距離があります。アナログ末期の録音でこのコンビの録音として
は残響や量感も十分で迫力があります。テンポもかなり速い設定をとり一般的に
速い印象のあるムラヴィンスキー(1960年録音)よりも各楽章速くなっています。
楽章順に以下のとおりです。
ムラヴィンスキー 17:37 8:07 8:20 9:45
ショルティ     17:32 7:46 8:06 9:14
ショルティ63歳の録音です。

第1楽章 17:32
 冒頭のファゴットソロからテンポはやや速めですが雰囲気に不足はありません。
 音楽が動き出すと加速開始、次第に躍動感あふれる表情になってゆきます。金管の
 入りの箇所も鋭くメタリックに豪快に響き渡ります。
 ヴァイオリンの第2主題はゆったりとしなやかな開始ですがやはりテンポは上がって
 伸びやかに歌います。6:45からの同フレーズの再現も開始からfで強く引き締まった
 表情で凛としています。
 展開部直前のクラリネットからバスクラリネットへの慣例となっているリレーも楽譜
 どおりにクラリネットからファゴットのリレーで再現しています。
 展開部の豪快な表現はこのコンビならでは、テンポの速さも尋常でないですが金管や
 パーカスの凄まじさはこの時代のシカゴ響ならではのパワーとキレが感じられます。
 クライマックスのトロンボーンのユニゾンも粘ることなく轟音を上げながらばく進
 します。

第2楽章 7:46
 テンポは速いです。チェロの主題は十分に張りと勢いがあり雄弁そのもの。明快な
 語り口はセンチメンタルの欠片もなく爽やかに感じるほどですが、音楽には強固な
 芯が感じられます。
 中間部もクールでどんどん流れてゆくので素っ気無い感じもしないではないですが、
 弦楽にはほのかな陰が感じられます。
 後半は前半よりテンポは速く感じられますが、終盤の木管のリレー箇所の辺りでようやく
 落ち着いて終えます。

第3楽章 8:06
 この楽章もテンポは速く常に前へ前へと突き進みます。活力に満ち溢れスピード勝負と
 いった感じもないではないですが、弦楽などややギスギスする位の響きに感じられます。
 後半のトランペット、トロンボーンの上下するリズムなどはバネとパンチのある響きが
 爽快。終盤でテンポを落とす指揮者も多いですがショルティは楽譜に忠実にインテンポ
 でぶっ飛ばし、息つく暇なくたたみ掛けてゆきます。

第4楽章 9:14
 冒頭のヴァイオリンのフレーズから速い流れで強く歌います。ここではショルティの
 「ウッ」とか「ウー」と言う声が5、6回聴こえていて弦楽を強くドライブしている
 様子が感じられます。第2主題以降もテンポは速めで沈み込むような表情は無く、
 一般的な悲嘆的な表現よりは悲劇的なハードさを強く押し出しています。
 クライマックス部分も強い張りのある緊張感を持続、ラストの箇所もさほど弱音を
 意識する感じはなく速めの進行で強い刻印を押すように曲を終えます。

涙に暮れるような音楽ではなく筋肉質で豪腕、ストレートに悲劇性を示したたくましい
「悲愴」です。細かいニュアンス付けはあまり無くがさつに聴こえる箇所もありますが、
感傷的な気分や叙情感を排除した厳しい表現が徹底されています。またロシアのオケ
とは違う響きの豪放さも興味深く、ショルティらしい個性的な録音です。
昔学生の頃はこのレコードとカラヤン(1976年)盤をよく聴いていたなぁ。

感銘度: A
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。)

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

23:13  |  チャイコフスキー  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.10.15 (Sun)

チャイコフスキー 交響曲第6番 フリッチャイ&ベルリン放送響

フリッチャイ_悲愴

チャイコフスキー
交響曲第6番ロ短調op.74「悲愴」

指揮:フェレンツ・フリッチャイ
    ベルリン放送交響楽団

録音:1959.9 ベルリン、イエス・キリスト教会
レーベル:グラモフォン

録音はオケに近く年代にしては十分にクリアなものです。ソロ楽器の質感や強奏時の
響きにやや古さは感じるものの弦楽などは十分に生々しく、なかなか迫力のある録音
です。残響もこの会場らしい響きが感じられます。
この録音はフリッチャイが1楽章に気になる箇所があり録り直す予定だったのですが
亡くなってしまい、長年お蔵入りとなっていたものでしたが1996年に遺族から発売の
許可が出たもので当時話題になったものでした。フリッチャイ45歳の録音です。

第1楽章 21:14
 冒頭のファゴットからテンポは遅く、救いようのない陰鬱な表情が強く提示されます。
 音楽が動き出してからは通常のテンポ感になり各楽器のリレーも明快、金管も速いテンポ
 たたみかけメリハリ十分です。弦楽での第2主題はゆったりと相当ロマンティックで
 思い入れたっぷりの表情。続くフルートやファゴットのフレーズも粘着的で情感豊かな
 ものです。押しては引くというこの曲の流れをかなり強く表現していて驚かされます。
 展開部ではスピード感や荒れ狂うような劇性も申し分なく、緩急の差も大きいもので
 13:15辺りから13:55にかけてはテンポの振幅も大きく、激しい気性を感じます。
 クライマックスでもトロンボーンや弦楽は分厚く、巨大なスケールで迫ります。
 落ち着いてからの主題の再現部(16:35)ヴァイオリンが入ってくる箇所でアンサンブルが
 バラけるところが気になります(ここが録り直したかった?)がすぐに立て直して
 たくましい合奏の頂点へとつなげてゆきます。

第2楽章 9:21
 テンポはやや遅いです。冒頭の弦楽から随分とコクとまろやかさ(シチュー?)な表現
 でスラー、レガートが多用されています。特にチェロが雄弁に歌い上げています。
 テンポの自由さと同時にじっくりと落ち着きのある語り口が特徴ですが、その分通常
 この楽章で感じられる弾力感は控えめです。
 中間部もしなやかな進行で必要以上に運命的なリズムや陰鬱さは強調しませんが弦楽
 はよく歌います。再現部直前にはブレーキもグッときかせて開始、終盤ではテンポを
 次第に落としてゆき、どこか名残惜しい気分を感じされるのがユニークです。

第3楽章 8:52
 テンポは中庸。ひなびた音色のオーボエが飛び込んでくるのが印象的。トランペットは
 発音がもうひとつですが、明快で安定感のある進行です。
 開始して1:10辺りでは金管と同時にティンパニがfで入ってくるはずですが、聴こえる
 かどうか位の静かな音量であれ?と思います、意図されたものか休みを数え損なったか
 どうかはわかりません。
 テンポは終盤までは楽譜どおりいじらないのですが、7:15で一旦ブレーキをかけた後は
 次第に加速をかけてゆきラストはかなり速いスピードに駆け抜けます。

第4楽章 11:06
 冒頭の生々しい弦楽が痛切に歌い上げてゆきます。ここでもチェロの低弦が良く歌い
 上げています。続く第2主題は諦めにも似た気分を感じさせるほど静かに深い表情を
 みせます。また全休止も十分過ぎるほどに取り、空を切り裂くように開始する弦楽の
 切れ味は慟哭にも近いのめり込みを感じさせます。
 クライマックスも急加速を伴う突入と意味深で憂鬱な響きが印象的。終盤はかなり
 引きずるような進行が徹底されていてこの曲に相応しく暗黒の闇へと誘われます。

全曲で50分を超える力演です、フリッチャイはこの録音の前年(44歳)に白血病を
発症して活動にも支障が出ていた時期ですが、病気以後の表現がその前とは大きく
変化したことはよく知られています。(48歳で没) この曲についても別に1953年に
ベルリンフィルと録音した覇気溢れる演奏とは別人のようになっています。
この録音ではオケはベルリンフィルや同時期のムラヴィンスキーのレニングラードフィル
のような名人芸は無いかもしれませんが、主情的で「悲愴」という名称に相応しい
濃厚で深みのある解釈と演奏になっています。

感銘度: A+
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。)

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

23:39  |  チャイコフスキー  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.10.05 (Thu)

ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容 バーンスタイン&イスラエルフィル

バーンスタイン_ヒンデミット_ウェーバー

ヒンデミット
ウェーバーの主題による交響的変容

指揮:レナード・バーンスタイン
   イスラエルフィルハーモニー管弦楽団

録音:1989.4 テルアビブ、フレデリック・R・マン・オーディトリウム
レーベル:グラモフォン

このホールでの録音はデッドな印象のものが多いですがこの録音も幾分乾いた
残響の少ないものとなっています。もう少し潤いが欲しい気もしますが、クリアで
曖昧さのない響きはごまかしのきかないものでこの曲に合っているかもしれません。

第1楽章 4:03
 テンポは中庸。録音の傾向もあり見通しの良い響きで冒頭部分の高弦からキリッと
 メリハリを利かせた開始です。勢いに任せて強引になったりギスギスするような
 ことは無く、旋律の流れには大らかさと余裕も感じられます。
 金管セクションもバランス志向ですがパーカス群は鋭いパンチが聴かれます。

第2楽章 7:22
 冒頭のフルートの旋律は遅めに入りますがリタルダンドが強めにかかります。
 ウッドブロックやドラなどもやや強めに聞こえ乾いた音響が独特の雰囲気です。
 弦楽のフレーズに入ってからはテンポがかなり速くなってきますが、トリルの扱い
 も徹底していて弦楽から木管、金管となかなか激しいピロピロ。テンポも煽り気味
 で飛ばしてゆきます。中盤のジャズ風の箇所はバーンスタインらしいノリが感じ
 られ(金管とティンパニの掛け合い等)ディヴェルティメント的ですが、ニュー
 ヨークフィル辺りのオケならもう少し印象も違ったかも。(1960年代にニューヨーク
 フィルとの録音もあるようです。)

第3楽章 4:22
 開始はさらりとクラリネットソロが入ってゆきますが、次第に音楽は深みを見せて
 きます。テンポが極端に遅くなるようなことはありませんが、それでもフレーズの
 語尾にはゆとりが感じられ、後半のフルートソロの箇所でも情感のこもった弦楽の
 流れが印象に残ります。フルートは端正な表現です。

第4楽章 4:22
 テンポは中庸かやや速め。開始の金管も大げさになるようなことはありません。軽快で
 足取りは軽やかですが音楽の表情は何か陰が感じられます。
 しかし後半になると若々しい明快な表情でしっかりとした拍感の行進を保ってゆきます。
 終盤も派手になり過ぎない金管、パーカスが引き締まった表情でクライマックスを作り
 ます。ラストはバスドラの強打も豪快です。

バーンスタインの晩年は異形の表現を示すことも多かったですが、ここで聴かれる表現
は過剰になることなく、この曲の本質に沿った表現になっていると思います。
バーンスタインとヒンデミットは作曲に関しては一時期、師弟関係だったようです。

感銘度: A-
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。)

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

23:05  |  ヒンデミット  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.10.02 (Mon)

ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容 サヴァリッシュ&フィラデルフィア管

サヴァリッシュ_ヒンデミット_ウェーバー

ヒンデミット
ウェーバーの主題による交響的変容

指揮:ヴォルフガング・サヴァリッシュ
   フィラデルフィア管弦楽団

録音:1994.4 フィラデルフィア、フェアマウントパーク メモリアルホール
レーベル:EMI

録音はオケがやや近い感じですがホールの響きを多く取り込んで残響が豊かに
響きます。艶もありスケールも十分ですが、強奏時のレンジがもう少し余裕が
あればと思います。

第1楽章 4:06
 テンポは中庸かやや速めです。よく響く録音の傾向もあってオケの鳴りは豊かで
 厚く響きます。特に低弦辺りは厚くて全体としてかなりゴージャスな音響。
 金管セクションもいかにもフィラデルフィアらしい明るさと伸びが感じられます。
 オーボエなどソロ楽器もいきいきとした表情が印象的でコントラファゴットなども
 明確に聞こえてきます。表情も神経質になることはなく恰幅のよい流れと進行で
 ラスト部分など豪勢です。

第2楽章 8:04
 開始のフルートソロは余裕のあるテンポで朗々と入ってゆきます。チューブラーベル
 も気持ち余裕を持った応答です。弦楽の入りから流れが良くなりますが主旋律の
 確かな進行はもちろんバックでリレーされる木管のフレーズやトリルの表現も結構
 主張が強く鳴らされていて細部の動きが明快に聞こえてきます。
 中盤のクライマックスも迫力十分。続くジャズ調の箇所はガッシリ系の表情で鋭い
 表情ではありませんが慌てることなく交差する楽器が立体的にキッチリ表現されます。
 後半のスケール感も大でオケが厚く響かせています。

第3楽章 4:56
 テンポはやや遅め。冒頭のクラリネットやファゴットは結構太い響きで押しが感じ
 られます。全体にボリューム感のある厚い響きで堂々とした表情と丹念な表情付け
 で格調の高い響き。後半も弦楽は幾分粘りのある語り口でロマンティックに雄弁に
 歌うフルートソロ(首席のジェフリー・ケーナー)がドラマティックな表現を作って
 います。

第4楽章 5:04
 テンポは中庸。前半は拍感をしっかりと効かせた行進で確かな歩みのオケが厚く
 進行します。解釈はガッシリ系の真面目さも感じられますが、オケは実に雄大に
 鳴り響き、終盤のホルンやトロンボーンの辺りもどこかウルトラマンシリーズの
 テーマ曲を聞くような堂々たる響き(表現が古くてすみません)で終結します。

全体にドイツ的な響きを感じる表現で(ヒンデミットもドイツ人)丹念でスケール
の大きさが感じられます。この曲によく聴かれるひねりの効いた表現はやや控えめ
かもしれませんが、ドイツ的な重厚さとフィラデルフィアの豊麗な響きがよく
ブレンドした好演になっています。

ちょっと細かい話になりますがこのオケのシンバルは昔から代々独特の音のする
楽器を使っています。大型で厚みのある楽器で普通の「シャーン」ではなく「バシーン」と
いった感じに聴こえます。一般的にはあまり鳴らないと評されることが多いようですが、
個人的には結構好きな音で最強打では凄みを感じます。この録音でも4楽章でその
シンバルの特色が感じられます。

感銘度: A
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。)

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

21:53  |  ヒンデミット  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.09.26 (Tue)

ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容 ブロムシュテット&サンフランシスコ響

ブロムシュテット_ヒンデミット_ウェーバー

ヒンデミット
ウェーバーの主題による交響的変容

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
   サンフランシスコ交響楽団

録音:1987.11 サンフランシスコ、ディビス・シンフォニーホール
レーベル:LONDON(DECCA)

録音はデッカらしいクリアなもので各楽器がやや近めに質感高く録られています。
残響もホールの空間がよく感じられ余裕があり、強奏でも抜けの良い響きで混濁する
ことはありません。

第1楽章 3:50
 テンポは中庸。冒頭から曖昧さのないキリリと引き締まった表情で入ってゆきます。
 特に弦楽はくっきりとメリハリの効いた機動力のある響きが印象的。
 中盤での雰囲気のあるオーボエソロも上手く、オケ全体の響きも冷た過ぎることは
 無く、機知が感じられる表現です。

第2楽章 7:27
 テンポは中庸かやや速めです。開始からのフルート、ピッコロのフレーズはあまり
 粘らずに軽やかに響きます。低弦が入ってからは速めのテンポで進行してゆきますが、
 各楽器ともに細部まで精緻なアンサンブルが聴かれます。
 繰り返しのフレーズではバックのトリルなどバタ臭くなることなく、洗練された響き
 と十分な躍動感で推進力を示します。ジャズ的な箇所も速めで奏者の上手さが感じ
 られます。はみ出すほどではありませんが、アメリカのオケらしい響きです。

第3楽章 4:12
 テンポは中庸かやや速め、さらりと流れる端正な表現ですが、フレーズには適度な
 滑らかさと侘しい気分が感じられ、しなやかで美しい表現です。
 後半は弦楽のしなやかな歌と小気味良く響いてゆくフルートソロのコントラストが
 対照的で面白い表情を作っています。

第4楽章 4:25
 主部のフレーズはキビキビとした表現でテンポも幾分速めです。若干前のめり的な推進
 力を持ち、リズムの扱いも幾分短めに処理されていて弾むような表現が個性的。この曲
 にしてはかなり明るく陽気な気分を強く表現しています。終盤でのホルンセクションも
 力感溢れるリズミックな表現を打ち出していて全体を華やかに終えます。

全体に録音の良さもありますが、明快で覇気の感じられる表現で実に爽やかさです。
この曲の冷感や無機質な面を抑えて前向きでウィットのある面白みを良く伝えています。
オケも管弦打ともに上手いものです。

感銘度: A
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。)

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

00:03  |  ヒンデミット  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.09.23 (Sat)

ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容 フルトヴェングラー&ベルリンフィル

フルヴェン_ウェーバー変容

ヒンデミット
ウェーバーの主題による交響的変容

指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
   ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

録音:1947.9.16 ベルリン、ティアタニア・パラスト(ライヴ)
レーベル:グラモフォン

録音は年代が古くまたライヴという事もあり、全般的に曇りがちですが演奏の表情は
良く感じられます。この曲の初演は1943年なのでそれから4年後の演奏になります。

第1楽章 4:09
 冒頭からテンポはかなり遅くヨッコラドッコイショといった感じのもっさりとした
 開始に驚かされます。アンサンブルもあまり良くなくどうした事かと思うほどですが
 進むにつれてテンポは上がり流れは良くなってきます。中盤以降は通常のテンポとなり
 金管や弦楽の厚みも増してきます。

第2楽章 7:51
 ここでも冒頭部は遅いテンポでフルートソロのフレーズは気が遠くなりそうな位で
 異様な雰囲気が漂います。弦楽の入りからは通常程度になり、繰り返される主題が
 熱を帯びてきますが繰り返される毎に主フレーズよりもバックの楽器のトリルが
 豪快に鳴り響くようになり荒れ狂うような盛り上がりを見せます。
 後半のジャズ的な箇所もそのまま速めに通していてキレは悪くありません。終盤に
 かけてもアッチェレが強めにかかり切迫感があります。

第3楽章 4:50
 開始のクラリネットソロからやはりゆったりと歌い上げてゆきます。
 この曲の演奏として遅いテンポだと思いますが、曲想的にはしっくりとくるテンポ感
 で哀愁漂う美しい表情だと思います。終盤のフルートソロも余裕が感じられます。

第4楽章 5:37
 この楽章もやはり開始はかなり遅めのスタートで躍動感よりは確かな足取りが印象的。
 幾分重い気もしますが厚く響かせてゆきます。
 後半はややテンポも上がり少しずつ勢いも出てきますが、3:58頃のトロンボーンの
 フレーズで再度グッとブレーキがかかり独特のデフォルメを聴かせます。ラストも
 流石に堂々たる力感で締め括ります。

フルトヴェングラーはいわゆるヒンデミット事件でヒンデミットを擁護した人物であり、
この作曲家を高く評価していたのだと思うのですが、ここで聴かれる解釈は一般的な
新即物主義と呼ばれる表現とはかなり違い、感情の起伏を大きくとりスケールの豊かな
仕上がりになっているのが興味深いところです。フルトヴェングラー流の表現になって
います。

感銘度: A-
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。)

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

00:11  |  ヒンデミット  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.09.19 (Tue)

ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容 セル&クリーグランド管

セル_ヒンデミット_ウェーバー

ヒンデミット
ウェーバーの主題による交響的変容

指揮:ジョージ・セル
   クリーヴランド管弦楽団

録音:1964.10.10 クリーグランド、セヴェランス・ホール
レーベル:SONY

録音は年代にしては音場も広く残響も程よいもの。マルチ的なクリアさはありますが、
オケは厚く、パーカスも力感が感じられ良い録音だと思います。

第1楽章 3:54
 テンポは中庸。端正な表情と明快な語り口、キビキビとした進行はこのコンビらしい
 音楽作りです。トランペットの音はアメリカンな感じですが張りと勢いが感じられます。
 中間部のオーボエソロも上手く、バックで鳴る弦楽も弾力感が印象的。終盤辺りも
 見通しの良いクリアな響きと力強さが感じられます。

第2楽章 7:05
 木管が奏でる「トゥーランドット」のフレーズはやや速めで軽やかに響きます。
 弦楽に主題が渡されてからはさらにテンポが上がり軽妙なタッチと躍動感が強調され
 ます。バックに流れるトリルもかなり豪快な勢いをもって響いてきます。
 後半のジャズ的な箇所は軽めの雰囲気で開始されますが金管とティンパニの掛け合い
 辺りは迫力十分。各フレーズは流れの良さが感じられます。

第3楽章 3:58
 中庸かやや速めのテンポ設定。淡々とした語り口ながらもどこか侘しい雰囲気は感じ
 られます。テンポの揺れはほとんど無いですが中間部での厚く響く弦楽や明快に進め
 られるフルートソロはストレートで強い意志が感じられます。

第4楽章 4:20
 テンポは速めです。やや前傾的な足取りは躍動感と引き締まった表情が印象的。
 幾分マーチ的で一本調子が感じもしないではないですが、後半でのはつらつとした
 金管の開放感も爽快で一体感のある響きで良くまとめています。

全体にセルらしい明快でストレートな解釈でもう少し遊びや屈託した雰囲気もあっても
と思いますが、気持ちの良いアンサンブルはここでも良く生かされていて細部まで
キッチリとまとめ上げています。

感銘度: A-
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。)

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

23:30  |  ヒンデミット  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.09.04 (Mon)

桐朋アカデミー・オーケストラ 特別演奏会

桐朋アカデミー・オーケストラ特別演奏会
2017.9.3 富山市、オーバードホール

指揮:クリスティアン・アルミンク



(プログラム)
 ウェーバー:劇付随音楽「トゥーランドット」op.17より序曲 
 ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
 ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」
 ※アンコールはなし

本日の編成は14型。後半のツェムリンスキーは楽譜通りの4管で金管はトランペット3、
ホルン6、トロンボーン4、チューバ1の編成。
指揮のアルミンクは2003年から10年間新日本フィルの音楽監督をされた方で名前は
よく知っていましたが実演に接するのは今回が初めて。富山にも初めての登場です。

プロの講師陣にはコンマスに神戸室内合奏団の白井圭さん、チェロにニューヨークフィル
の工藤すみれさん、フルートに新日本フィル首席の白尾彰さん、ティンパニには同じく
新日本フィル首席の近藤高顯さんが参加されていました。

今回はマイナーな選曲のためか、また公演日が八尾町の「おわら風の盆」祭りと重なった
ことから来客数が減ると判断されたのか通常会員には2枚チケットが郵送されてくるの
ですが今回は3枚も送付されていました。そのせいかホールは普段と同じくらい9割近く
席は埋まっていたと思います。

ウェーバー:劇付随音楽「トゥーランドット」op.17より序曲 
 ウェーバーのトゥーランドット序曲は4分ほどの珍しい曲ですが、この後に演奏された
 ヒンデミットの曲で使用される主題となる曲になります。ややヒンデミットの前振り的な
 演奏となりましたが、できればプレトークとかあってこの曲の説明とかあったら初めて
 聞く人にも楽しめたのかもしれません。
 演奏自体は冒頭のピッコロから幾分ゆったりとしたテンポ設定でしたが、繰り返される
 フレーズを丁寧に示していたと思います。

 指揮者のアルミンクさんはプログラミングにも曲の関係性を見出すことが多いのか、
 新日本フィルと録音したCDにもブラームスの交響曲第1番とマーラーの交響曲第3番
 をカップリングにした珍しいCDがあります。私も持っているのですがこのCDでは
 ブラームスの第4楽章の有名な旋律とマーラーの第1楽章の冒頭旋律が酷似している
 ことがきっかけとなっているようです。

ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
 4曲ともに精度の高い安定感のある上手い演奏でしたが、丁寧過ぎるかなという感じも
 しました。1曲目の切り込むようなヴァイオリンの主題や2曲目のボレロのように繰り返
 されるトゥーランドットの主題にはさらにメリハリや毒気があってもと思います。
 しかしソロは見事なもので1楽章の木管セクション、3楽章後半の長大なフルートソロも
 聴き応えがありましたし、2楽章もトロンボーンから始まるジャズ的なフレーズやバック
 で鳴るフラッターやトリルの響きは面白く、金管も4楽章冒頭など一体感のある響きが
 印象的でした。

ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」
 この曲は題名くらいしか知らなかったのでリッカルト・シャイーやトーマス・ダウスゴー
 指揮のCDを最近よく聴いていたのですが面白い曲だと思います。
 1903年頃の作曲でシェーンベルクの「ペレアスとメリザント」と一緒に初演されたそう
 ですが、後期ロマン派の雰囲気をそのまま残した曲で繊細さとスケールの大きさはどこか
 R・シュトラウスの交響詩を聴くような趣があります。
 アンデルセンの人魚姫の童話のストーリーをそのまま曲で表現されていて繰り返される
 人魚姫の主題を軸に話の情景がそのまま音楽として感じられ、ディズニーの映画音楽と
 してもそのまま使えそうな気がします。

 演奏は細部までよくコントロールされた演奏で1楽章は冒頭の深い響きから弦楽、木管の
 ゆらめくようなしなやかな表情が美しく、後半の嵐の場面では豪快な響きが良く発揮され
 ていました。
 2楽章は冒頭箇所で繰り返される華やかなフレーズでホルンセクションにさらに力感が
 あればとも思いましたが、続く伸びやかなチェロのフレーズや木管が爽やかに示され、
 楽章を通して刻々と変わる表情が良く再現されていたと思います。終結部のホルンの
 ソロも安定感のある響きを聴かせていました。
 3楽章では陰鬱で悲劇的な情景の描写も丹念なものでしたが、終盤第1楽章冒頭主題の
 再帰後、弦楽での最弱音から次第に浄化されるような大きなクライマックスへの作りが
 なかなか感動的でした。
 ラストは消え入るように終わるところでフライング気味の拍手が入ったのが残念でしたが
 全体にテンポ設定やフレーズの歌い方など丹念によく表現された表情でこの曲の魅力が
 よく伝わっていたと思います。オケの演奏も総じて安定感があり良かったと思います。

3曲ともマイナーなせいか、観客の拍手がいまひとつ盛り上がらないのは仕方ないところ
ですが、(拍手のタイミングもおっかなびっくり的)知らない曲でも聴いてみようとホール
に大勢の観客の足が向くことは良いことだと思います。

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

23:52  |  富山・金沢の演奏会を聴く  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2017.08.12 (Sat)

ブルックナー 交響曲第3番 カラヤン&ベルリンフィル


昔、新譜が出た時にLPで買いました。

ブルックナー
交響曲第3番ニ短調(1888/89、ノヴァーク版)

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
   ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

録音:1980.9 ベルリン、フィルハーモニー
レーベル:グラモフォン

デジタル初期の録音のせいかオケに近く、マルチ的なバランス傾向で特にトラン
ペット、トロンボーンの音は直接的な響きでギスギスするほどの圧迫感があります。
個々の響きはクリアでパンチも十分ですが、強奏時はあまり余裕がなくどこか
切迫した雰囲気。残響もパウゼでは残りますが全体の音のブレンドは少なめです。

第1楽章 22:04
 テンポは中庸での開始ですが全奏の主題提示は鋭角的で引き締まった響きを聞かせ
 ます。(やや録音の影響も強いですが。)武骨な要素は抑え込まれていてかなり近代的。
 弦楽の響きは滑らかで艶があり、金管はメタリックで威圧的な響きです。全奏での
 豪放感溢れるエネルギーは直接的に響き、そこまでやるかといったような印象も受け
 ますが、もう少しオフで録れていたらもう少し感じは違っていたかもしれません。
 弱音でも構成上の弱さを感じさせることは無く9分前後のホルン、木管辺りなど
 他の指揮者では流れが悪い演奏もありますがカラヤンは隙を見せることはありません。
 静かなフレーズもブルックナーの侘しい雰囲気はほぼ皆無。弱さを見せる無く、芯の
 ある美しい歌を聞かせます。
 11分過ぎや終盤の強奏部はビシバシと鳴りまくるマッシヴ感が尋常でなく巨大な響きで
 圧倒します。

第2楽章 16:27
 冒頭の弦楽フレーズは流石に流麗に響きますが、ここでも金管が入ってくると重厚感は
 一気に増して豪勢な表情。2:30辺りからの静かな箇所もとてもブルックナーとは思え
 ないような艶やかで潤いのある表現はカラヤンらしいところで入念な彫刻がなされて
 います。
 9:10からの低減の入りはテンポを落として重厚な響きます。続くピチカートを伴う
 木管、ホルンのフレーズもしっとりと落ち着き払い冷感が漂います。ホルンソロも
 出しゃばり過ぎずに上品な響き。
 クライマックスに向けてもジリジリと計算された段階を踏みガッシリと足取りで
 壮大な山場を作り上げます。

第3楽章 6:59
 テンポは中庸。主部は勢いと覇気に満ちた表現ですが弦楽のフレーズでは滑らかさと
 スムースさが印象的です。
 中間部は気持ち長めにとられた音符の扱いはローカルな舞曲というよりワルツ的な
 品の良さを感じさせます。また中間部とその前後は長めのパウゼで余裕を持った表情の
 転換を図っています。後半のオケの解放感もやはり豪快です。

第4楽章 11:39
 テンポは中庸で冒頭から先を急ぐ感じはなく、明確なリズム感とスケール感のある表情
 を見せ、続く弦楽フレーズももたれる事はなく豊麗で充実した表情です。
 追いかけの箇所はデフォルメするような事はなくキレ良く一気に流れる強靭な音響。
 その後の静かな箇所では一転してゆったりと静まり返ります。
 8分過ぎのチェロのフレーズ、また続くヴァイオリンの穏やかなフレーズと雰囲気の
 ことなる表情もそれぞれしなやかな流れを持って奏でられます。
 終盤の主題再現は金管を中心に鳴りまくるといった印象で豪快で耳が痛いほど。また
 ラスト近くの三連符のアクセントもティンパニなど意識されていないようでさらりと
 流していて流れ重視のようです。終結部は圧倒的な響きを持って締めくくります。

全体に録音のバランスが普通とはいえませんが、パワフルな金管を中心に強力な音響と
キレで聞かせる演奏といった感じです。ローカルなブルックナーの姿は見えず隙のない
立派な表情とベルリンフィルの凄味ばかりが耳に残りますが、引き締まったたくましい
表現には爽快感があります。
カラヤンが枯れる直前の頃だと思いますが勢いのある演奏です。

感銘度: A
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

13:32  |  ブルックナー 交響曲第3番  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.07.23 (Sun)

ブルックナー 交響曲第3番 マゼール&バイエルン放送交響楽団

マゼール_ブル3バイエルン

ブルックナー
交響曲第3番ニ短調(1888/89、ノヴァーク版)

指揮:ロリン・マゼール
   バイエルン放送交響楽団

録音:1999.1.30 ミュンヘン、ガスタイクフィルハーモニー(ライブ)
レーベル:BR KLASSIK

録音はややオケに近接しています。各楽器が左右に大きく広がる感じはやや
少なくもう少し余裕が欲しい感じがします。音調は幾分ソフトで残響は適度に
あり、ブルックナーらしい雰囲気は感じられます。
ライブ一発録音ですが聴衆ノイズは特に処理されてなくそのままです。

第1楽章 22:36
 開始はやや速めにくっきりとした表情で進められますが、全奏での主題提示に
 なると大きくブレーキがかかり粘着性の強い響きで大きく主張します。
 緩急の差をかなりとった表情付けや艶やかな弦楽での語り口はいかにも曲者
 マゼールらしいアクの強さが感じられます。
 この曲にしては野趣さや素朴な響きよりもロマン的な傾向が濃厚に示されていて
 面白いのですが好みが分かれそうな解釈です。部分的にデフォルメが頻出しますが、
 全体の足取りはそれほど重い感じはしません。
 11:54頃の全奏などもたくましく極太の響き。ラストに向けてもうねるような
 ネットリとした進行で一貫しており21:30のフルートソロの弱音と直後の豪快な
 強奏にも大きな表情の落差を付け、劇的な演出で表現しています。

第2楽章 15:14
 冒頭の弦楽から低音をよく効かせた厚めの響きで侘しい気分は控えめ。フレーズの
 語尾にブレーキがかかったりとテンポの動きが目立ち、ホルンの強奏も印象的に
 響きます。ここでもセンチなほどのロマン的で濃い表情は徹底しています。
 3分過ぎからの弦楽のフレーズも細かいニュアンス付けがよくなされ揃っています。
 9:20からのフレーズは意外にさらりとした流れですが、裏メロのホルンはしっかり
 と主張。経過句も流れは良く、重くなり過ぎないように配慮されていますが、
 クライマックスではやはり粘着的な壮大さをもって打ち出されます。

第3楽章 7:03
 テンポは中庸で躍動感は十分。ティンパニの打込みもアクセントが良く効いていて
 威力があります。弦楽での2メロも艶やかそのものでスムースな響き。
 中間部はややゆったりとしていて野暮ったい表情を強めに表現して田舎の舞曲と
 いった趣きがよく感じられます。後半もボリューム感と押し出し感は十分。

第4楽章 13:39
 開始から明快な強い表情で他の演奏よりは金管が厚く鳴り響きます。続く弦楽の
 フレーズはこぶしを強く効かせた念を押すようなアクセント付けががユニーク。
 4:22からの追いかけの箇所は遅めのテンポで弦楽と金管の動きが克明に示され、
 5:35頃からはここぞとばかりにオルガン的な響きをデフォルメして壮絶な音響を
 示していきます。聞かせ所以外はさらりとした所もありやや一貫性に?な感じも
 しますが演奏自体には確固とした自信が感じられます。
 ラストの主題の全奏も流石に図太いもので12:50の3連符アクセントも良く効いて
 います。ラスト3小節は全ての音符が長く引き伸ばされ、ねじ伏せるようにネットリ
 と終結となります。

マゼールのブルックナーは曲によって自己の表出具合がかなり違う感じがしますが、
この3番はマゼール節が強く示され個性的な演奏といえます。かなり濃厚な響きの
するブルックナーですが面白いと思います。
オケは一発ライブながらも流石に安定していて上手いものです。

感銘度: A-
5段階( A+ A A- B+ B )に分けています。)

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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