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2017.03.25 (Sat)

ドヴォルザーク 交響曲第8番 シルヴェストリ&ロンドンフィル

シルヴェストリ_ドボ8_1957

ドヴォルザーク
交響曲第8番ト長調op.88

指揮:コンスタンティン・シルヴェストリ
    ロンドンフィルハーモニー管弦楽団

録音:1957.6&7 ロンドン、キングスウェイホール
レーベル:EMI

録音はステレオ初期のためヒスノイズがあったり、トロンボーンの強奏が平板な響きに
なっていたりと少々時代を感じますが、個々の音は意外にしっかりとしていてクリアさ
も十分、弦楽も量感や艶が感じられます。残響も適度に感じられ録音年にしては大きな
不満はありません。

第1楽章 9:16
 テンポはやや速め、冒頭の弦楽主題からフレージングが特徴的で小節毎に起伏を持たせて
 しなやかに奏でられます。次第にテンポが上がってくる箇所になると一気に加速して
 速いテンポで走り出します。ティンパニ強打の後のチェロのフレーズも潔いものでしな
 やかさよりは直線的な表情。メリハリの効いたアクセントや四分音符を短めに処理する
 などスポーティさと躍動感が強調されて実に爽やかです。また場面毎のテンポ設定も
 急激に変化する箇所が多くユニークな表現が聴かれます。
 強奏部も頂点前に溜めをつくるような事は無くストレートに開放し、終盤でも指定のない
 アッチェレをかけるなど独特で意欲と熱気が感じられます。

第2楽章 9:55
 開始のフレーズはやや間を意識するようなところがあり、少々風変わりな語り口です。
 テンポはやや速めでもたれずにさっぱりとした傾向で意志の強さが感じられ、2分過ぎの
 たたみ掛けるようなフレーズや4分過ぎの強奏部もやや前のめり気味の勢いがあります。
 ホルンの陰鬱なユニゾンフレーズ以降も硬派で鋭角的な表情がユニーク、ティンパニの
 打込みもバンバンと生々しく迫力があります。
 後半の緩徐部ではこの指揮者独特のイントネーションが感じられ表情豊かで生き生きと
 した歌が聴かれます。終盤の高揚もメリハリの効いたダイナミクスもたくましいです。
 ただアンサンブルは少々ラフな感じもします。

第3楽章 6:05
 テンポは中庸。弦楽の主題は小節頭の音符をフワリと軽く押す抑揚感が面白いです。
 中間部はオーボエをしっとりと歌わせ、弦楽は伸びやかさと爽やかな歌で聴かれます。
 後半、弦楽フレーズの再現部(3:46)ではグッとゆったりとしたテンポから開始、かなり
 鼻に付く様なセンチな表情ですが、前半とはまた違った表情で示しているのが興味深い
 ところです。

第4楽章 9:41
 トランペットのファンファーレはやや軽めのタッチ、弦楽の開始フレーズも独特な歌い
 回しにハッとさせられます。またフレーズ後半はアクセント付けと明快な表情が印象的。
 テンポが上がる箇所はやはり速めのテンポ設定でフルートをコロコロと飛ばしてノリの
 良い進行を見せます。
 中盤5分過ぎからの緩徐部はチェロのフレーズの語尾を微妙に改変しているようです。
 またテンポの揺れもかなり気分的な感じですが、遅めのテンポでしっとりと歌い上げて
 います。ラストに向けての追込みも速いテンポで躍動感十分。金管は録音のせいかトロン
 ボーンがかなりパリパリしますが、一気に突っ走る引き締まった終結です。

シルヴェストリというとどの録音もユニークな演奏が多いですが、この録音は一見、
メリハリの効いた躍動感のある演奏という印象ですが、良く聴くと緩徐部の弦楽器を
中心にユニークなフレージングが多く聴かれなかなか斬新な表現の演奏です。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

01:30  |  ドヴォルザーク  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.03.19 (Sun)

ドヴォルザーク 交響曲第8番 カラヤン&ベルリンフィル(1979)

カラヤン_ドボ8_1979

ドヴォルザーク
交響曲第8番ト長調op.88

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
   ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

録音:1979.1 ベルリン、フィルハーモニー
レーベル:EMI

録音は適度な距離感で大きくオケが広がりますが、年代にしては強奏部など少々もやもや
して透明度はいまひとつ。オケの音自体は低音も厚く重厚そのものでティンパニの強打
など非常にたくましく響きます。同時期の新世界交響曲やワーグナーの管弦楽集の録音と
同様の音質傾向です。

第1楽章 9:39
 冒頭から速めのテンポとりますが、チェロの主題はテヌート、レガートが効き過ぎて
 音形がよくわからない程の滑らかさになっています。流麗さと爽やかさを基調とした
 進行は随分と垢抜けしたもので民族的な香りよりも洗練された感覚が独特でカラヤン
 らしい表現です。
 強奏部での金管や低弦は強力なものですが、それにもましてティンパニの打ち込みは
 まるでマシンガンのように響き、凄みが効いています。

第2楽章 11:20
 開始の弦楽のフレーズは小節の頭に強めのアクセントが置かれているのが珍しい解釈
 です。またフルートの音も随分とホールに響くのも印象的(やや人工的かな)です。
 テンポは中庸で滑らかなタッチとボリューム感があり美しい進行です。
 7:13頃からのホルンの強奏する悲劇的なフレーズからはテンポを落としてじっくりと
 表現。重厚な表現ですがさほど角張らず以降も曲想の変化も唐突感無くしなやかさが
 感じられます。
 但しラスト近くのたくましい低弦やティンパニは尋常で無い力感が感じられます。

第3楽章 5:38
 テンポは速め、弦楽は流麗でしなるように響きます。ポルタメント的な滑らかさと
 颯爽とした流れが交差するスタイリッシュな表現はゾクッとするような感覚を覚えます。
 この手の曲調はカラヤンの手にかかると流石に上手いものです。
 中間部も朴訥とした感じはありませんが、弦楽には艶やかな歌が聴かれます。

第4楽章 9:44
 冒頭のトランペットは当時のベルリンフィルらしい壮麗な響きです。落ち着いた弦楽の
 開始から次第に躍動感が増してきますが、テンポが上がる箇所からはかなり速めのテンポ
 設定で豪快に開放。ここでもティンパニの打ち込みは強力そのもので中間部の盛り上げも
 華やかです。
 メリハリの付け方も大きな落差があり、5:03からのチェロで始まるフレーズもやり過ぎな
 位の弱音が印象的。終盤もすっきりとした味わいでローカル的な響きはあまり感じません
 が、7分台の緩徐部では中庸のテンポでしなやかに歌い上げます。
 ラストの急迫するクライマックスは流石に豪快でトロンボーンがかなりビリビリ鳴って
 いますが引き締まったテンポで強く終えます。

随分久しぶりにこの録音を聴きました。この演奏は洗練された解釈がのせいか一般的には
評判はあまり良くなかったような気がしますが今聴いてみるとカラヤン全盛の70年代の
豪華で華やかな表現が何だか新鮮さに感じられ面白く聴きました。
時代が変わるとまた聴こえ方も変わってくるような気がします。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.03.05 (Sun)

ドヴォルザーク 交響曲第8番 ジュリーニ&シカゴ響

ジュリーニ_ドボ8_1978

ドヴォルザーク
交響曲第8番ト長調op.88

指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
   シカゴ交響楽団

録音:1978.5 シカゴ、オーケストラホール
レーベル:グラモフォン

録音はこのホールでの録音としてはDECCAのものよりも残響が感じられます。
ティンパニはもう少しクリアさがあればとも思いますが、全体に遠近感も十分で
スケール感もあり、アナログ末期の良い録音だと思います。
ジュリーニの唸りも随所で聞こえてきます。

第1楽章 10:50
 冒頭から甘くなり過ぎることはなく落ち着いた端正な開始です。フルートソロ後、
 テンポが上がる箇所からはチェロセクションを豊かに鳴らした表現にハッとさせら
 れます。テンポはやや遅めですが弱音でのしなやかな表現は当時のショルティでは
 出せない感覚です。各楽器の明快な響きはオケの特色でもあるかと思いますが、
 流石で細部までカッチリとよく鳴らして歌わせてゆきます。
 強奏部ではやはりシカゴ響らしいバーンと鳴る金管はいかにもといった感じですが、
 力ずくにはならずに開放感と余裕があります。

第2楽章 11:27
 テンポは遅めで冒頭から穏やかさよりはどこかおごそかな雰囲気が漂います。
 間の取り方や進行も余裕があり落ち着いています。ヴァイオリンソロ以降の高揚
 してゆく箇所も実に堂々たる表情で金管につないでゆき格調の高い仕上げです。
 ホルンの悲劇的な咆哮やその後の牧歌的な歌や憂愁さを覚える切ない曲想など
 次々と変遷して表情のまとまりが難しい楽章ですが、どの箇所もじっくりと示して
 いて安っぽくならないのが良いかと思います。ラストも低弦とホルンをたくましく
 太く響かせています。

第3楽章 6:50
 テンポはやはりやや遅め。一般的に流麗でロマンティックで甘い歌が聴かれますが、
 ここではかなり重心の低い表現で腰の重さを感じる重厚さに特色があります。
 テヌート、レガート調の表現は粘りがあり聴く人好みが分かれそうですが、太く
 ゆったりと流れる音楽は安っぽくなくて独特の心地良さが感じられます。
 中盤の低弦のリズムも実に明確な響きで終盤も木管金管ともにガッシリと鳴らして
 います。

第4楽章 10:39
 冒頭のトランペットは意外に落ち着いたバランスのとれたもの。続くチェロのフレーズ
 も開始に溜めを作ることなく端正な表情です。
 全奏でテンポが上がる箇所もテンポはやや遅めでお祭り騒ぎといった感じはなく重厚さ
 に重きが置かれていてややヨッコラドッコラショといった感じもなくはないですが
 その分強奏部でも細部まで明確に動きが聞き取れます。
 勢いに任せることなく、また吹き飛ばすこともない表情はよくコントロールが効いて
 いますがやや丁寧過ぎるかなとも思います。また中盤の緩徐部は中庸のテンポながらも
 バックで鳴るファゴット辺りが表情豊かに良く歌われているのが印象的です。
 終盤の懐かしい雰囲気も淡い響き。ラストはさほど加速せずに太いタッチで全体を
 まとめ上げています。

ドヴォルザークらしい民族性は希薄で純音楽的な解釈で進められていますが、細部まで
丹念に彫刻された表現です。晩年のコンセルトヘボウとの録音(1990)ではさらに表現が
重くなりますが、この演奏では適度な重厚さと歌の感じられる表現です。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.02.25 (Sat)

ヤナーチェク シンフォニエッタ ラトル&フィルハーモニア管

ラトル_シンフォニエッタ_1982

ヤナーチェク
シンフォニエッタ

指揮:サイモン・ラトル
   フィルハーモニア管弦楽団

録音:1982.11 ロンドン、キングスウェイホール
レーベル:EMI

録音は適度な距離感で金管セクションは曲に相応しい豪快な響きで鳴り響きます。
トランペットだけでなくトロンボーンやチューバなど中低音の金管もしっかりと
録られています。
全体に当時のEMI特有の曇り感は若干感じられますがホールも良く鳴っていて
スケール感は十分です。

第1楽章 2:16
 やや速めのテンポで開始。金管の鳴りは英国らしい明朗さとバネのある響きで華々しい
 もの。ベースで鳴るトロンボーンもバリバリとかなり強く吹かせているのが印象的です。
 やや英国ブラバン的ですが、ひたすら押してゆくストレートで開放的な表現です。

第2楽章 5:39
 ここでも開始からミュートを付けたトロンボーンが相当騒々しい響きを聴かせていて
 ユニークですが思い切りの良さが感じられます。テンポも速めで前進性の強い表情。
 中間部などもう少し広がりと落ち着きがあっても思いますが鋭く攻めます。
 ラトルの「ウッ、ウッ」とリズムをとる声も聴こえ、何だか縦ノリ的にリズムを強調
 してゆきますがパーカス出身者らしいところかもしれません。

第3楽章 5:23
 前半の抒情的な箇所も当然甘くなることはなくチューバを太く鳴らして堂々とした
 響きを作ってゆきます。
 トロンボーン、チューバのアンサンブルの箇所はなかなか重心の低い硬派な響きで
 良いと思いますが、トロンボーンソロの終盤の吹きにくい箇所はスライドの動きで
 カバーしているような感じにも聴こえます。
 後半はかなり力が入り過ぎた感じで粗さもありますが豪快です。ピッコロなども
 良く鳴っています。

第4楽章 2:50
 テンポはやや速め、トランペットに呼応する低弦が実にたくましく力感を持って響き
 ます。中間部も率直な表現でテンポ変化は控えめ。後半にかけてもメリハリ重視で
 各楽器が良く鳴っています。

第5楽章 6:44
 穏やかな入りで進められますが、弦楽で奏でられるリズムの扱いは実にくっきりとした
 もので強く主張、木管ソロも思い切りの良いもので強く響きます。
 前半からかなり緊張感の高いテンションで各楽器とも強いアタックで鳴らしてゆきます。
 金管の冒頭再現部は壮麗というよりは華々しい響きと勢いが勝っていて豪快そのもの。
 強弱にはやや極端な箇所(5:33)なども聴かれますがなかなか堂に入ったものです。
 終盤は地から盛り上がるような壮大さよりは若々しいタッチで描き上げるといった感じ。
 ラストの音は長めに処理していて余韻の感じられる終結です。

ラトルの録音では初期のもので27歳の時の録音になります。
モラヴィラ地方の民族的な雰囲気はやや希薄ですが、若々しい気迫やキレ味、開放感の
感じられる演奏で痛快な表現です。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

00:24  |  ヤナーチェク  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.02.17 (Fri)

チャイコフスキー 交響曲第4番 ザンデルリンク&ベルリン響

ザンデルリンク_チャイ4
チャイコフスキー
交響曲第4番へ短調op.36

指揮:クルト・ザンデルリンク
   ベルリン交響楽団

録音:1979.6.7-9,12 旧東ベルリン イエス・キリスト教会
レーベル:DENON

録音は当時の日本コロンビアがPCM機材を持ち込んで録音したもの。イエス・キリスト
教会というとカラヤン&ベルリンフィルが思い浮かびますが、こちらは同名の旧東ドイツの
教会で音響も異なります。適度な残響はありますがオケは弦がやや近く、金管はやや遠く
に位置している感じで間接的な響きの要素が多めです。PCMデジタルなのでクリアです
が音質としては幾分硬さが感じられます。

第1楽章 20:43
 冒頭のファンファーレ句は気合の入ったものでホール(教会)が響くこともあり豪快に
 鳴ります。主部の入りも沈静した空間からさらりと率直な語り口で開始。オケの表情は
 音色的にもやや武骨さを感じるもので洗練や流麗とは遠い感じですが、フレーズの強弱
 には微妙な変化が感じられます。
 5:50からのクラリネットのフレーズ辺りも少々ひなびたローカル的な雰囲気が印象的。
 8:33の金管が入ってくる強奏部も慌てることなく堂々たるテンポで重心の低い音響を
 聴かせます。まだ東ドイツ時代なのでホルンセクションの響きはロシア調で滑らかさと
 ほの暗さがよく感じられます。
 高揚する箇所でもけたたましく発散するよりは落ち着きや重厚さに傾斜していますが、
 要所ではガツンと効かせています。
 終盤も必要以上にテンポを動かすことも見得を切ることもありませんが緊張感を持って
 堂々と締め括ります。

第2楽章 10:11
 テンポは中庸、インテンポ基調でオーボエソロも淡々とした進行ですが、素っ気無い
 感じはなく自然な哀愁が漂ってきます。また弦楽はほの暗く太い芯のある響きで聴か
 せます。4:12からの木管(クラリネット)のフレーズからはややゆったりとテヌート調
 の表情が印象的。以降の弦楽が絡む高揚ももったいぶるような所が無くストレートに
 大きく膨らんでゆきます。
 弦楽をしっかりと鳴らした真摯なスタイルで飾らないものですが終盤は荒涼とした
 風景が確かに感じられます。

第3楽章 5:59
 テンポは中庸か若干遅めです。ピチカートのアンサンブルも落ち着いた温かみの感じ
 られるもので低弦から高弦までよく揃います。
 中間部もやはり幾分遅めでカッチリ系の表情ですがローカル的な木管の音色が素朴に
 響きます。後半はどこかおどけた楽しげな感じが伝わる表現です。

第4楽章 9:06
 テンポは中庸であまり急迫する勢いはありませんが豪快に響きます。やや弦楽がマイク
 に近いバランスのせいか強奏では弦楽が主体となってギシギシと鳴って迫ってきます。
 トランペットやトロンボーンは頑張って吹いていますがやや距離があり残響と共に響く
 感じでトロンボーンはややオルガン的です。
 音符を明確に鳴らしてゆくタイプで奇をてらうようなところもなく自然体な姿勢で無理
 がありません。冒頭主題の再現部も率直で端正な回帰。
 終盤のテンポも安定したもので幾分加速しますが妥当的で堂々たる終結となります。

この曲ではテクニックや力技で聴かせる演奏も多いですが、この演奏は燻し銀的な
渋い演奏で通しています。オケはあまり器用とはいえない感じですが旧東ドイツの響き
を残していてほの暗い音色に味があります。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

23:25  |  チャイコフスキー  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.02.13 (Mon)

チャイコフスキー 交響曲第4番 バーンスタイン&ニューヨークフィル(1989)

バーンスタイン_チャイ4_1989

チャイコフスキー
交響曲第4番へ短調op.36

指揮:レナード・バーンスタイン
   ニューヨークフィルハーモニック

録音:1989.10 ニューヨーク、エイヴリー・フィッシャーホール
レーベル:グラモフォン

録音はオケに近くクリアなもの。パーカスや低音も効いていて威力のある音響です。
このホールでの録音はあまり残響が豊かな印象はありませんがほどほどといった印象。
ホルンセクションがもう少し厚みのある音で録られていればとも思いますがこのオケの
特徴は良く感じられます。
バーンスタイン71歳、亡くなる1年前の録音です。

第1楽章 21:15
 冒頭のファンファーレ句は開始こそ普通のテンポ感ですが下降してトロンボーンが入る
 箇所からグッとブレーキがかかり重量感たっぷりの豪壮な響き。(ホルンセクションの
 少々軽い響きが惜しいです)主部に入る辺りも極端に遅く十分な間の後、神経質で憂鬱
 な気分を振りまきながらヴァイオリンが歌いだします。
 テンポは緩急の差が大きく自由そのもの。弱音部では概してテンポは遅くレガート調な
 表現となっていますが、強壮するクライマックスに向けて加速してゆきます。
 11:25からの弦楽の上昇フレーズもテンポを大きく揺らしながら進行、13:14辺りに
 かけてネットリと溜めを作りながら膨らんでゆくのがユニークです。
 欝な気分でトボトボと進行する箇所と突然火が付いたように膨大なエネルギーを発散
 する箇所が交錯してゆきます。終盤も19:46から猛烈なアッチェレをかけたかと思うと
 ラストのフレーズで濃厚にたっぷりと主張するなどかなり極端な表情を作っています。

第2楽章 12:03
 テンポは遅いです。オーボエソロは通常以上に哀愁を帯びた歌ですがやや間延びした
 印象もします。弦楽での第2主題などもヨッコラドッコラショといった重さを覚える
 ほどですが揺るがず通しています。
 5:30以降の弦楽のフレーズは楽器を重ねてゆくロマンティックな箇所ですがさすがに
 大きなボリューム感を持たせていて濃厚な味付けです。
 7:13頃の木管がソロで下降、上昇する箇所での弦楽の響きも随分と感傷的な歌い方。
 終盤にかけてもフレーズの丹念さは相変わらずで拡大して聴かせる感じですが、次第に
 テンポを落とし寂寥感よりも悲観的な雰囲気が増すのが独特です。

第3楽章 5:38
 ピチカートの箇所は一転して通常よりも速めのテンポ感で躍動感十分。
 中間部は逆に遅めで愛らしさよりも朴訥とした雰囲気が漂います。後半は前半よりも
 さらに速めでノリの良さが感じられ老いを感じるようなところは一切ありません。

第4楽章 9:33
 テンポは中庸での開始。分厚い音響で金管低音(バストロンボーン、チューバ)の音も
 豪快に支えています。1:42からの落ち着いたオーボエの副主題からはやはり遅めの
 テンポを取り旋律を十分に歌わせますが、5:37からの金管での同フレーズでは加速、
 ここでもチューバやバストロはブンブン鳴りまくり、強奏する冒頭フレーズの打込み
 も壮絶そのもの。また直後の沈静する箇所での意味深なほどの入念さが印象的です。
 終盤は次第に加速し激しい追い込みを見せ、かなり速いテンポになりますがオケは
 鮮やかなキレとリズム感を持ってたくましくラストまで突き抜けます。

バーンスタイン晩年の録音は濃厚な表現が多いものが多いですがこの録音も非常に
喜怒哀楽の激しい音楽作りで深い感情移入を持ち込んだユニークな表現です。
チャイコフスキーよりもバーンスタイン色が強くやり過ぎ感は感じるものの晩年まで
枯れることのない強い表現意欲には驚かされます。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )


テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.02.04 (Sat)

ドビュッシー 交響詩「海」 ミュンシュ&パリ管

ミュンシュ_海1967

ドビュッシー
交響詩「海」
(管弦楽のための3つの素描「海」)

指揮:シャルル・ミュンシュ
   パリ管弦楽団

録音:1967.11.14 パリ、シャンゼリゼ劇場(ライブ)
レーベル:Altus

パリ管弦楽団、発足記念演奏会でのライブ録音。
当日のプログラムは、
 ベルリオーズ:幻想交響曲
 ドビュッシー:海
 ストラヴィンスキー:レクイエム・カンティクルス の3曲。

録音年代は古いですが音質は非常に生々しくクリアそのものでライブの熱気をよく
伝えています。録音はオケに近く残響は少ないですがオケの分厚い響きは圧倒的で
聴き応えがあります。

1.海の夜明けから真昼まで 9:40
 開始のテンポはじっくりと腰のすわった遅い進行で何かを予感させるような感があります
 が主部に入ると一転急加速。フレーズ毎に緩急の幅を極端なほどにつけたテンポ設定には
 かなり驚かされます。箇所によってはギクシャクするほどですが強い主張を聴かせます。
 チェロの4分割される箇所(楽譜上は16人必要ですが実際は通常は10人程度で演奏)も
 人数は不明ですが張りのある分厚い響きが印象的。その後も緩徐部の粘着感や躍動的な
 箇所での開放感は自由さに満ちています。
 終盤でのテンションの高さも尋常ではなく金管やパーカス(特にシンバル)の豪快さは
 唖然とするほどで楽譜にないアッチェレまでかかります。

2.波の戯れ 6:37
 テンポは速め。閃きの感じられる情熱的な語り口でリズムの切れ味やメリハリの付け方
 は相当なもので、別の曲を聴くような感じさえします。
 中盤辺りでもテンポは急迫する場面があり驚かされます。ミュンシュは指揮のたびに
 テンポが変わることでも知られていましたが、即興的な感じもしないでもないです。
 終始ハツラツとした響きが強烈で終盤になってようやく落ち着きが感じられます。

3.風と海の対話 7:58
 冒頭からの威圧的とも言える低弦などの重厚さは何かを予感させます。トランペットの
 ソロ句も叫ぶような響きで緊迫感十分。直後のティンパニの打撃、休止の箇所では、
 ミュンシュが「ウァー」と大声で叫んでいます。(怖い!)
 その後もテンポは速く筋肉質の筋張った音響に驚かされます。
 3:30頃からのホルンのフレーズで落ち着きが感じられますがバックに流れる弦楽の鋭さは
 やはり強烈で低弦のピチカートもバルトーク的。
 4:35からの高弦、フルート、オーボエでの深遠な響きの箇所も張り詰めた緊迫感が支配
 します。ラストに向けてはテンポの加速が強烈でひたすらたたみ掛けてゆき、金管の
 フレーズもスケール感よりは疾走する勢いがもうどうにも止まらないといった感じで
 引きつったような豪快な響きで締め括ります。

海の描写というよりは大嵐のような感情の爆発といった感じ。荒れ狂うミュンシュの指揮
が思い浮かぶような度肝を抜かれる演奏です。
この頃のパリ管(パリ音楽院管)というとアンサンブルがラフなイメージもありますが、
発足演奏会ということもあり気合が入った演奏となっています。
通常のこの曲のイメージとはほど遠いですが痛快で圧倒的な表現が素晴らしいです。
並録の幻想交響曲も有名なセッション盤以上に強烈な演奏です。

感銘度: A 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.02.02 (Thu)

ドビュッシー 交響詩「海」 マゼール&ウィーンフィルハーモニー

マゼール_海_1999

ドビュッシー
交響詩「海」 

指揮:ロリン・マゼール
   ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

録音:1999.1.8-10 ウィーン、ムジークフェラインザール(ライブ)
レーベル:RCA

ライブ録音ですが聴衆ノイズも無く説明がなければセション録音だと思う仕上がり
です。リハの演奏なども編集されているのかもしれません。
オケは近くに位置してボリューム感が大きく、残響もムジークフェラインにしては
かなり過剰な音響に感じられます。特にハープの響きは相当手が入っているようで
終始人工的な響きとバランスです。

1.海の夜明けから真昼まで 9:22
 テンポはやや遅めの設定です。全体に音像も大きめなので各楽器が色彩感豊かに、
 また伸びやかに示されます。ゆったりと歌うようなフレーズではややネットリとした
 感触があり、5:20頃のチェロが4分割されるフレーズ辺りでもしなやかに響かせます。
 中盤以降も丹念に艶のある響きでアクが強過ぎる感じはしませんが色合いはかなり
 濃いものです。終盤の金管がリードする高揚も粘りが強めで太く響きわたります。

2.波の戯れ 6:32
 ここでも色彩感とふくよかさは独特でファンタジーといった感じさえします。特に
 ハープの強い響きはかなり違和感があるほどでユニークといえます。
 テンポは中庸ながらもなめらかで幻想的な表情を見せたかと思えば、テンポが速め
 となる箇所では躍動感のある生き生きとしたテンポもあり表情豊か。
 弦楽の刻みを強調したり、普段さほど聴こえないシンバルも強めに鳴らしている
 のも印象的です。

3.風と海との対話 8:05
 冒頭から低弦とドラの深い響きが物々しく怪しさ満点の開始。
 トランペットソロは力がみなぎっています。テンポは中庸ですが厚く太い響きは
 印象派というよりもロマン的な匂いを強く感じます。
 各楽器の強調の仕方や粘着的な傾向での進行はマゼールらしいところ。4:22からの
 高弦をバックにフルート、オーボエが静かに奏でる箇所はもはや異次元な響きかも
 しれません(言い過ぎか)。
 終盤のホルン、トランペットのユニゾンは無し。ラストに向けてもしっかりとした
 足取りですが録音のせいか全奏はややマスク気味で終結部はややおとなしい気が
 します。ラストの一発のティンパニも長めに響きます。

マゼールらしいアンニュイな「海」です。録音の傾向もありますが暖色系の太くトロリ
とした味付けが個性的です。ウィーンフィルの音は流石に美しいものです。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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2017.01.28 (Sat)

ドビュッシー 交響詩「海」 ジュリーニ&ロイヤルコンセルトヘボウ

ジュリーニ_ドビュッシー1994

ドビュッシー
交響詩「海」 
牧神の午後への前奏曲

指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
   ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

録音:1994.2.23-25 アムステルダム、コンセルトヘボウ(ライブ)
レーベル:SONY

交響詩「海」 25:31

ライブ録音、オケとやや距離のある感じがします。コンセルトヘボウというと豊かな
残響が思い浮かびますがこの録音はさほど残響を取り込んでなく、意外にすっきりと
したバランスで聴くことができ細部もクリアです。
ジュリーニが80歳の時のものです。

1.海の夜明けから真昼まで 9:32
 冒頭から繊細な響きです。フレーズによってはやや遅めのテンポで入念な表情を作って
 ゆきますが、弛緩するほどでは無くしなやかで清涼感のあるタッチで描かれてゆきます。
 特に高揚する前の7分台からは繊細で深い表現が聴かれます。
 終盤の高揚は引き締まった響きで小節の頭に何度か打ち込まれるティンパニは2段打ち
 で豪快に入れているのが珍しいです。

2.波の戯れ 7:19
 テンポは中庸です。ここでも引き締まった表情でリズムの明快さは見事なもので幻想的な
 音響を感じさせながらも木管群はクリアで精緻さが光る表現。緩徐部ではテンポをやや
 落として呼吸感の感じられる進行です。オケも流石に上手い表情で終盤での室内楽的な
 透明感のある繊細な響きも印象的。

3.風と海との対話 8:36
 冒頭は必要以上に怪しい雰囲気はありませんが緊張感は十分。
 主部の木管のフレーズ辺りからは緩急がよく付けられていて歌が感じられます。
 また4:40からのフルート、オーボエの旋律の箇所では弱音で奏でられる弦楽との美しい
 コントラストが示されます。
 終盤ではホルン、トランペットのユニゾンフレーズは最終稿どおり省かれて弦楽だけの
 伸ばしとなっていますが、ジュリーニの唸る声がかなり聴こえてきます。
 ラストの金管のフレーズは端正なもの、終結部もストレートで豪快な表現で締め括って
 いますが、ここでもティンパニは2段打ちで締めています。

全体的なタイムは通常よりやや遅めですが、緩徐部で入念に表現しているためです。
色彩感や勢いはやや控えめですが、繊細さが増し燻し銀的な色合いに感じられます。
ジュリーニらしい深みの感じられる「海」です。


牧神の午後への前奏曲 10:47

 こちらの録音も同時期のライブですが「海」よりも深い音響が感じられます。
 ジュリーニの牧神はこの録音だけだと思いますが、こちらも素晴らしい出来。
 全体にあるがままの姿を示していて特に余計なことは何もしていませんが、木管群の
 上手いソロと幻想的な雰囲気がこの曲に相応しくマッチしています。テンポは中庸
 ですが、フレーズの扱いには余裕が感じられます。
 5:30過ぎからの木管の伸びやかな歌と広がりや7分以降のややスッキリとした肌触り、
 また終盤でのヴァイオリンソロやオーボエなど絡む響きが何とも見事です。

感銘度: A (2曲とも)
( A+, A,  A-, B+, B )

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2017.01.20 (Fri)

ブラームス 交響曲第4番 カラヤン&ベルリンフィル(1988)

カラヤン_ブラームス4_1988

ブラームス
交響曲第4番ホ短調op.98

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
   ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

録音:1988.10 ベルリン、フィルハーモニー
レーベル:グラモフォン

録音はオケに近く(特に弦楽)力感がありますが、やや直接音が主体でもう少し響きに
滑らかさと余裕が欲しい気がします。金管はホルン以外がやや遠い感じ。カラヤン80歳、
亡くなる9ヶ月前の録音です。

第1楽章 13:00
 冒頭からレガートな表情はカラヤンらしいですが、)同曲2回目の録音(1978年)で聴かせた
 しなやかで颯爽とした一体感のある表現とは異なり、ややゴツゴツとした音の厚みや濃厚
 さが強くなっているように感じられます。音色やアンサンブルも以前のような精緻で磨き
 上げたような響きよりは自然なもので奏者に任せている雰囲気。やや枯れた感じも無い
 ではないですが、語り口は以前より余裕があり、強い意志とスケールに不足はありま
 せん。終盤での高揚もホルンセクションをかなり太く強く強奏させているのが印象的で
 テンポもインテンポ基調で堂々と締め括っています。

第2楽章 11:35
 開始のホルンの響きはもう少し伸びやかさが欲しいかなとも思いますが、ピチカートは
 しっかりと響き渡り、淡々としていながらも弱さを感じることはありません。
 30小節からのヴァイオリンの上昇フレーズも表情は過剰な色付けはなく朗々と表現され
 ていますが、88小節の第2主題の再現部(8:20辺り)は流石に凄みのある弦楽の分厚い
 響きで鳴らしています。テンポは中庸ですが進行にはゆとりが感じられ、古風な響き
 よりは存在感十分の威容さが感じられます。

第3楽章 6:24
 テンポは中庸で躍動感や機敏さはやや控えめでリズムもやや重い感じがしますが、
 ガッシリと丹念にひとつひとつのフレーズを示して堂々とした恰幅の良さが感じられ
 ます。ラストの3音もテンポを落としてしっかりと響かせます。

第4楽章 10:39
 開始から自然体で進行してゆきますが、33小節目(1:02頃)の弦楽のフレーズでは強い意志
 の感じられる豪勢な響きで低弦もゴーゴーと分厚く鳴ります。
 音楽の流れは以前のような流麗なスムースさよりは渋く、武骨ともいえる肌触り。
 中間のフルートソロ以降も自然な呼吸感でしなやかな表情を聴かせる木管セクションは
 流石に上手いです。
 終盤もインテンポ基調での芯のあるたくましい進行で音楽を作り過ぎること無く、実直
 ともいえる響きでまとめています。

70年代の録音よりややテンポは遅くなり、語り口も老成した感はしますが、トータル41分は
平均的だと思います。
60年代や70年代の録音ではカラヤンらしい艶やかな音響美や強力な合奏能力がいかにも
といった感じでしたが、この録音では体裁よりは自然でストレートな情熱が感じられ、
カラヤン晩年の他の録音同様に興味深い表現となっています。

感銘度: A- 
( A+, A,  A-, B+, B )

テーマ : クラシック ジャンル : 音楽

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